OSI基本参照モデル|つまづきやすいポイントと攻略法 徹底解説!


2025-12-19 更新

この連載は、基本情報技術者試験の受験者を対象としたものです。
毎回1つのテーマにしぼって、多くの受験者がつまづきやすいポイントと攻略法を解説します。

今回のテーマはOSI基本参照モデルです。

OSI基本参照モデルとは?

「OSI(Open Systems Interconnection)基本参照モデル」は、ネットワークの機能やプロトコル(通信規約)を、7つの階層に分けて整理するというモデル(考え方)です。
それぞれの階層は、「レイヤ1」から「レイヤ7」という番号で呼ぶ場合と、「物理層」から「応用層」という名称で呼ぶ場合があります。

図1にOSI基本参照モデルのイメージを示します。
送信者が送ったデータが7つの階層を上から下にたどって送出され、そのデータが7つの階層を下から上にたどって受信者に届くというイメージです。

【図1】OSI基本参照モデルのイメージ

図2に、OSI基本参照モデルの各階層の機能を示します。

【図2】OSI基本参照モデルの各階層の機能

多くの受験者がつまづきやすいポイントは、7つも階層があるので機能を覚えられないということです。
各階層の機能を覚えるポイントは、下から上に向かって、階層の名称と機能を結び付けることです。
次の順序で覚えると良いでしょう。

まず、何でつなぐかを取り決め(物理層
 ↓
次に、同じネットワーク(LAN)内で通信を行い(データリンク層
 ↓
次に、ネットワークと他のネットワークを中継するインターネットに出て(ネットワーク層
 ↓
次に、パケットを確実に届け(トランスポート層
 ↓
次に、データの形式を取り決め(プレゼンテーション層
 ↓
最後に、ユーザから見た使い方を取り決める(応用層

OSI基本参照モデルとプロトコルの対応

図3に、OSI基本参照モデルと現在広く普及しているのプロトコルの対応を示します。
プロトコルの中には、OSI基本参照モデルの複数の階層の機能を持つものがあるので、LANとインターネットのプロトコルは、7階層ではなく4階層です。

【図3】OSI基本参照モデルと現在広く普及しているのプロトコルの対応

有線LANのイーサネットと無線LANのWi-Fiは、LANのプロトコルですから、物理層とデータシンク層です。
IPは、IPアドレスを参照して中継するプロトコルなので、ネットワーク層です。
TCPとUDPは、パケットを目的地まで届けるプロトコルなので、トランスポート層です。
Webページ閲覧のHTTPやメール転送のSMTPなどは、使用しているプログラムごとのプロトコルであり、セッション層、プレゼンテーション層、応用層にまたがります。

OSI基本参照モデルとLAN間接続装置の対応

図4に示したように、OSI基本参照モデルとLAN間接続装置を対応付けることもできます。
よく出題される装置は、「リピータ」「ブリッジ」「ルータ」「ゲートウェイ」です。

【図4】OSI基本参照モデルとLAN間接続装置の対応

リピータは、減衰した信号を回復して伝送距離を延ばす装置です。
ブリッジは、LANにおける識別情報であるMACアドレスを参照して、LAN内でデータを中継します。
ルータは、インターネットにおける識別情報であるIPアドレスを参照して、ネットワーク間でデータを中継します。
ゲートウェイは、複数の階層にまたがって、プロトコルの変換を行います。

OSI基本参照モデルに関する問題の攻略法

OSI基本参照モデルに関する問題を見てみましょう。
以下は、OSI基本参照モデルの階層の機能の問題(出典:H24秋問34)です。

問題(出典:H24秋問34)

OSI基本参照モデルにおいて、エンドシステム間のデータ伝送の中継と経路制御の機能をもつ層はどれか。

ア セション層   イ データリンク層   ウ トランスポート層   エ ネットワーク層

この問題の攻略法は、OSI基本参照モデルの各階層の名称と機能を結び付けることです。
以下に覚え方の例を示しますが、自分流に工夫してください。

この問題では、「エンドシステム間のデータ伝送の中継」なので、ネットワーク層が適切であり、選択肢エが正解です。

●覚え方の例

・この上にユーザーが乗っているので「応用層」と覚える。
・プレゼンという言葉からデータ「表現」をイメージして「プレゼンテーション層」と覚える。
・セッションIDで利用者を識別するから「セッション層」と覚える。
・トランスポートという言葉から「運送屋さん」をイメージして、運送屋さんだからパケット(小包)を確実に届けるので「トランスポート層」と覚える。
・ネットワーク間を中継するので「ネットワーク層」と覚える。
・リンクは「つながっている」という意味なので、直接つながっているLAN内の通信を行うので「データリンク層」と覚える。
・物理的に何でつなぐのかを取り決めるので「物理層」と覚える。

OSI基本参照モデルに関する問題を、もう1つ見てみましょう。
以下は、OSI基本参照モデルの階層とLAN間接続装置を対応付ける問題(出典:H26春問30)です。

問題(出典:H26春問30)

OSI基本参照モデルの各層で中継する装置を、物理層で中継する装置、データリンク層で中継する装置、ネットワーク層で中継する装置の順に並べたものはどれか。

ア ブリッジ、リピータ、ルータ
イ ブリッジ、ルータ、リピータ
ウ リピータ、ブリッジ、ルータ
エ リピータ、ルータ、ブリッジ

この問題の攻略法は、LAN間接続装置の名称と機能を結び付けることです。
以下に覚え方の例を示しますが、自分流に工夫してください。

この問題では、「物理層、データリンク層、ネットワーク層」の順ですから、選択肢ウの「リピータ、ブリッジ、ルータ」が正解です。

●覚え方の例

・「ルータ」は、ネットワークの間の中継(ルーティング)を行うのでネットワーク層の装置であると覚える。
・「ブリッジ」は、LANをいくつかのグループに分割する橋(ブリッジ)となるのでデータリンク層の装置であると覚える。
・「リピータ」は、減衰した信号を物理的に回復してリピートするので物理層の装置であると覚える。


今回は、「OSI基本参照モデル」のポイントと攻略法を解説しました。
このテーマが苦手だった受験者の参考になれば幸いです。

それでは、またお会いしましょう!

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