「試験直前にやるべきことは?」「科目AとBの勉強方法は変えたほうがいい?」|基本情報お悩み相談室

この連載は、基本情報技術者試験の受験者を対象としたものです。
毎回2つずつ、受験者が抱えているお悩みに、講師歴20有余年の私がお答えします。

お悩みの中には、技術的なものもあれば、精神的なものもあります。
どちらも解決して、スッキリした気分で受験勉強をしましょう。

お悩みを解決してくれる講師

矢沢 久雄

IT技術を楽しく・分かりやすく教える“自称ソフトウェア芸人”。
大手電機メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。大手電機メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。
■主な著書
「プログラムはなぜ動くのか(日経BP社)」「でるとこだけ!基本情報技術者(翔泳社)」など多数

【お悩み1】
試験直前の1週間、何を重点的に勉強すべきでしょうか?また、前日にやるべきことを教えてください!

私の講師経験上、基本情報技術者試験を受けて残念な結果になってしまった人の中には、まるきり点が足りなかったのではなく、あと1問できれば合格だった、という人がとても多くいます。
それを聞いた私は「あと1問ぐらい何とかならなかったのか?」と残念に思い、本人も「ああ、もう少しだけ勉強しておけばよかった」と悔しい思いをします。このような思いをしないために、試験の1週間前も、試験の前日も、とにかくジタバタしてください
ジタバタするとは、何でもいいからやる、ということです。そうして、やったことが運よく試験に出れば、あと1問ができて合格できます。

とにかくジタバタしてくださいだけでは、何をやればよいかわからないですね。
ジタバタする方法をいくつかアドバイスしましょう。
これらは、そのまま真似してやっても、自分流にアレンジしてやってもOKです。とにかく、やるのです!

●試験1週間前のジタバタする方法
試験の1週間前に、実際の試験と同様に、科目Aの60問と科目Bの20問を制限時間内(科目Aは90分で、科目Bは100分)に解く練習をします。
1日にまとめて両方をやるのでも、2日に分けて科目Aと科目BぞれぞれをやるのでもOKです。
この練習で、「問題の解き方の順序を誤った」「時間配分を誤った」などの失敗を経験するのです。

そうすれば、実際の試験の当日には、同じ失敗をしないはずです。
この練習をするには、実際の試験と同じ構成の模擬試験的なもの(問題と解答、できれば解説も)が必要になります。市販教材の中には、模擬試験が用意されているものがあるので、それを利用するとよいでしょう。

模擬試験的なことをやった後は(やらなかった場合でも)、試験前日まで、とにかく1問でも多く過去問題を解いて、できなかった問題をできるようになるまで練習します。
試験には、過去問題が何度も再利用されているので、試験に合格するために、最も効果的かつ効率的な学習方法は、できるだけ多くの過去問題を解いて、できなかった問題をできるようにしておくことです。
その際に、特に難しいと感じた過去問題は、問題の解法をまとめたノートを作ります。
この解法は、自分流に考えても、教材に示されれものを書き写してもOKです。
ノートに書く行為をすると、大いに記憶に残ります。ノートに書いておけば、何度でも見直せるので、ますます記憶に残ります。
この記憶を、試験当日まで残すのです。用語を覚えるのが苦手という人は、用語と意味をまとめたノートも作りましょう。

●試験前日のジタバタする方法
試験の前日は、もしも可能であれば、実際に試験会場まで行って下見(会場の入り口までなら見られるでしょう)をします。
利用する交通手段や、移動にどのくらいの時間がかかるかを確認しておくのです。
その際に、先ほどのノートや教材(覚えることにマーカーをいっぱい付けた教材)を持参して、行きと帰りの電車(もしくは利用する交通手段)の中で、それらを勉強します。
会場の下見をして帰宅したら、試験の当日に会場に持って行く物をまとめます。受験票はもちろんですが、ノートや教材も忘れないようにしましょう。そして、いつもより早く就寝します。

こうして、きちんと準備をして、十分に睡眠を取っておけば、安心した気持ちで、スッキリした頭で、試験を受けられます。

試験の当日は、試験開始の1時間前くらいに試験会場に到着するようにします。
行きの電車の中でノートや教材を勉強するのはもちろんですが、試験会場の待合室(なければ近くの喫茶店や公園など)で、ノートや教材を勉強します。
この勉強は、試験開始直前まで続けます。最後の最後まで、ジタバタするのです。そうすれば、「ああ、もう少しだけ勉強しておけばよかった」と悔しい思いをすることはないはずです。
私も「ご健闘をお祈りします!」と願うだけです。

【お悩み2】
科目Aと科目Bの勉強方法って変えたほうがいいのでしょうか?

基本情報技術者試験の科目Aと科目Bは、主題範囲と趣旨が異なります。
科目Aは、すべての分野が出題範囲であり、知識(用語の意味や技術の仕組みに関する知識)があるかどうかを問うことが趣旨です。
科目Bは、アルゴリズムとプログラミングおよび情報セキュリティが出題範囲であり、技能(実践する能力)があるかどうかを問うことが趣旨です。

したがって、科目Aと科目Bの勉強方法は、当然ですが、変えることになります。
ただし、共通していることもあります。
それは、できるだけ多くの過去問題を解いて、できなかった問題をできるようになるまで練習することです。これは、他のお悩みの回答で何度も言ってきたことですが、試験には、同じ過去問題が何度も再利用されているからです。

それでは、科目Aと科目Bの具体的な学習方法をアドバイスしましょう。
これは、ITの学習やプログラミングの経験があるかどうかで異なります。
まず、経験がある人の学習方法です。

●ITの学習やプログラミングの経験がある方向け

【科目A】
どの年度からでも構いませんので、年度ごとに過去問題の全問を解いてください。旧制度の午前試験の過去問題は、問題数が多いこと以外は、科目Aと同じなので、それらも学習題材としてください。もしも、わからない用語や概念に遭遇したら、その都度、教材で調べてください。これを何年度分か行うと、自分の苦手分野がわかってくるはずです。そうしたら、その分野に絞って、過去問題を解くことを続けてください。インターネットには、分野ごとに過去問題をまとめたもを無償で利用できるWebページがいくつかあるので、それらを利用するとよいでしょう。

【科目B】
自分の経験があるプログラミング言語と対応付けて、擬似言語(試験でプログラムを表記するときに使われる架空の言語)の読み方を確認してから、アルゴリズムとプログラミングの過去問題を解いてください。
もしも、できなかった問題があれば、たっぷりと時間をかけて、できるようになるまで練習してください。
情報セキュリティの過去問題は、情報セキュリティの用語や概念を事例風に仕立てたものなので、科目Aの過去問題を数多く解いていれば、容易に解けるでしょう。現時点で入手できる科目Bの過去問題は、数が少ないので、1問ずつを大事に練習してください。
すべての問題をできるようにしておいて、試験当日にどの問題が再利用されても大丈夫、というくらいまで練習してください。
なお、旧制度の午後試験の過去問題は、科目Bとまったく違う内容なので、学習題材にはなりません。

もしも、科目Bの学習題材が足りない場合は、アルゴリズムとプログラミングでは、自分の経験があるプログラミング言語で、試験に取り上げられるアルゴリズムとデータ構造(どのようなものがあるかは、教材を見ればわかります)を実際のプログラムとして作る練習をしてください。
情報セキュリティでは、科目Aの過去問題を数多く解いて(科目Bの過去問題は少ないからです)、できるだけ多くの用語や概念の知識を得てください。

次に、経験がない人の学習方法です。

●ITの学習やプログラミングの経験がない方向け
まず、教材を入手しましょう。
科目Aの出題範囲を網羅した教材(基本情報技術者試験の対策本と銘打つ書籍の多くが、この教材です)、何らかのプログラミング言語の入門教材、そのプログラミング言語で基本的なアルゴリズムとデータ構造を学べる教材、の3点です。

プログラミング言語は、何でも構わないのですが、どれかを推薦してほしいなら、Javaをお勧めします。Javaの表記は、擬似言語と似ている部分が多く、Javaの教材には、入門者向けのものが多くあるからです。
科目Bの教材もありますが、プログラミングの経験がないと、擬似言語で記述されたプログラムを読み取るのは困難なので、科目Bの教材よりも、実際に動作するプログラミング言語の教材を学習することをお勧めします。もしも、科目Bの教材が気になるなら、プログラミング言語の学習が終わってから入手してください。ただし、きちんとプログラミング言語を習得できていれば、科目Bの教材を使わなくても、科目Bの過去問題の練習に進めるはずです。

3冊の教材を使って、何をするのかというと、自分の知識と技能のレベルを、ITの学習やプログラミングの経験がある人と同じ程度に引き上げるのです。

(1)科目Aの出題範囲を網羅した教材
(2)何らかのプログラミング言語の入門教材
(3)そのプログラミング言語で基本的なアルゴリズムとデータ構造を学べる教材

(1)~(3)の順に学習してください。
それができたら、あとは、経験がある人と同じ方法で学習を続けてください。
遠回りをするように思えるかもしれませんが、知識や技能が無いまま「これは、できない」「これも、できない」と学習するより、ちゃんと基本的な知識と技能を習得してから「これは、できた」「これは、できなかったから調べよう」と学習した方が、楽しいはずです。
楽しく学習すれば、きっと合格できます。


今回は、「試験直前にやるべきことは?」「科目AとBの勉強方法は変えたほうがいい?」というお悩みにお答えしました。
同じお悩みをお持ちの皆さんの参考になれば幸いです。

それでは、またお会いしましょう!

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