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講師インタビュー 後藤 洋平「プロジェクトマネジメントをもっとシンプルに教えたい」

calendar_month2021-10-20 公開

研修で「何を学ぶのか」も重要ですが、 「誰から学ぶのか」も重視される時代。SEプラスの研修で登壇する講師がどんなことを思いながらコースを実施しているのか、講師にインタビューしています。

今回はプロジェクトマネジメントの分野で数多く登壇する 後藤 洋平 さんです!

実は、研修嫌いだった後藤さんが自身で多くの研修に受講してわかった「研修で受講者を変える秘訣」や、 PMBOK ® など教科書通りでは上手くプロジェクトマネージャを育成できないとお悩みの方に、独自の「プ譜」を使ったシンプルな育成方法を紹介いただいています。ぜひご覧ください !!

講師紹介
後藤 洋平
株式会社ゴトーラボ代表。「プロジェクトコンサルタント。世界で一番わかりやすく、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」プロジェクト工学を提唱し、プロジェクトマネジメント教育、ハンズオン支援に取り組んでいる。著書に『予定通り進まないプロジェクトの進め方』(宣伝会議)など。東京大工学部システム創成学科卒。

インタビュアー: SEプラス 寺井 彩香

プロジェクトは「管理」では 100 点にならない!「プ譜」誕生秘話

―― 後藤さんと言えば、お馴染みの「プ譜」ですが、どういうキッカケで生まれたのでしょうか?

プロジェクトマネジメントを学ぶ必要に気づき、勉強を始めると、多くの場合、 PMBOK ® やアジャイル、スクラムといったプロジェクト管理手法と出会い、学び、活用するようになるんですね。私自身、プロジェクトマネージャをしているときも実践してきました。

これらの手法は、究極的には、顧客やスポンサーと約束した QCD を満たすことを目的としたものです。実際、私もそうした手法のおかげでプロジェクトの QCD を外したことはなかったんですね。

でも プロジェクトを「管理する」という発想ではプロジェクトが 100 点満点にならない、 QCD を守るために何かを妥協している感覚があったんですね。

確かに成果物は作り上げたけれど、本当に相手を幸せにしているプロジェクトなのか、どこか疑問に残ってしまうことがよくありました。 100 点満点で言えば、 70 点、 80 点。決して不合格ではないんですけど、もっといい仕事をしたい、 100 点、いやそれ以上の 120 点にしたい、と常々思っていました。

―― 100 点にならないのは、なぜだと後藤さんはお考えになったのですか?

まず「なぜ、プロジェクトはこんなに管理しないといけないのか」、それから紐解いてみました。すると、当たり前のことですが、プロジェクトとは プロジェクト管理手法を知っている人だけでやることはなく、大多数の知らない人と一緒に進めるのが通常です。

そんななかであらゆるリスクや変更、コストや進捗を管理しようとすると、当然ながら、沢山の資料、沢山の会議を必要とします。当たり前なんですが、これは、大変な労力がかかることなんです。

―― なるほど、進め方や言葉の理解が通じ合っている人同士であれば、少ない情報を共有するだけで、管理しなくても動けますものね

そこで、もっとハードル低く、もっとシンプルにプロジェクトの情報を表現できて共有しやすく出来ると、プロジェクトマネジメントを知らない人にもわかりやすく、もっとプロジェクトマネジメントが楽になると考えたんです。

それで生まれたのが「プ譜」(ぷふ)です。

―― そういうモチベーションで生まれたのですね!プ譜をご存知ない方もいらっしゃると思うので、簡単にどんなものか紹介いただけますか?

プ譜とは将棋の「棋譜」や音楽家の「楽譜」のように、プロジェクトの進め方を「誰にでもわかりやすく表す図」です。今の現状と将来の姿、未来への過程を直感的に読んだり書いたりできるようになっています。

プ譜のサンプル

―― ご紹介ありがとうございます。このプ譜は後藤さんが発案されたんですか?

共著者である前田 考歩さんと一緒に提唱しているものです。

―― 以前の弊社で開催したウェビナーでも前田さんと一緒に登壇されていましたね。
前田さんとは元々、会社や大学が何かでお知り合いだったんですか?

いえ、まったく接点はなく SNS で知り合いました (笑) 。

知り合った当時、前田さんは事業企画やプロジェクトの支援をされていて、私も新規事業の立ち上げを支援する仕事をしていて、お互いの仕事のことをたまたま SNS でつぶやいていたんですね。それをエゴサーチしたときに互いに見つけて、会うようになったんです。

―― それはまた変わったキッカケですね!

前田さんも同じようにプロジェクトが思ったように進まないことに考えを巡らせていて、プロジェクトマネジメントを肴に、年に何度か、食事したり、お酒を飲むようになりました。

―― それで「プ譜」が考案されたのですね。
それを出版社に持ち込んで書籍「予定通り進まないプロジェクトの進め方」 (宣伝会議刊) になったと …

いえいえ、当時はプロジェクトマネジメントでは無名の 2 人ですから、本にするということは思いもしなかったですね。

―― とすると、どのようにして本になったのですか?

そういったプロジェクトマネジメントに関するモヤモヤをお互い抱えていたところ、前田さんの紹介で起業家コミュニティのセミナーに 2 人で登壇することになったんです。

そこで、これまでのジレンマをぶつけるかのように「あらゆるプロジェクトは失敗する!」とバーンと発表したんですね。

無名の 2 人の登壇だったのにそのセミナーの集客はなぜか良くて、通常のキャパシティが多くても 50 名ぐらいのところ、 100 名を大幅に超える参加申込がありました。

―― それはスゴい !!

プロジェクトマネジメントというと IT や建設がよく挙げられますが、参加者の方の業種は様々で、都市開発、メーカー、製薬など IT を超えて、沢山の方にご参加頂けました。

当時、前田さんは宣伝会議にも面識を持っていらっしゃっていて、セミナー内容を紹介したところ、面白いと思ってくださったのが、本を執筆するキッカケになりました。

―― 業種を超えてそれだけプロジェクトで悩んでいる方が多かったんですね

その本は刊行後、 3 年半で 5 回増刷されるロングセラーとなって、そうすると関連する書籍も 2 冊追加で出す機会をいただき、 3 冊合計で発刊部数は 3 万部を超えました。本当にプロジェクトの「管理」で悩んでいた方がいたんだなぁと実感しています。

本のレビューでも、

「読んで救われた」
「プロジェクトマネージャの自分が悪いと思っていたけど、そうではないと思えるようになった」
「 PMBOK ® ではとっつきにくくて出来なかったけど、プ譜なら書けそう」

と言っていただける読者がいました。そういうレビューを見ると、とてもうれしいです。

「とても緊張しやすい」とハニカミながら話す後藤さん

人生にもプロジェクトマネジメントが必要

―― そんな後藤さんがプロジェクトマネジメントを追究するようになったのは、何かキッカケがあったのでしょうか?

独立する前は 3 社でサラリーマンをして色々な職種を経験したのですが、最後の 3 社目で SaaS 型の基幹システムパッケージの導入業務をするようになって、いわゆる IT プロジェクトマネジメントは、その仕事を通して実践するようになりました。

ただ、それまで研修が嫌いで、プロジェクトマネジメントは勉強したことはありませんでした。研修講師が研修嫌い、というのは褒められたものではありませんね (笑) 。

―― (笑) プロジェクトマネージャになって、研修を受講されたのですか?

実はプロジェクトマネジメントをするようになったあとも、研修は受講せず、周りから PMBOK ® を奨められても読んでなかったんですね。知識はなくても実践できれば構わないと思っていました。

そうしたときに、あるプロジェクトでお客様側の担当者が PMP ® をもっている方だったんですね。

PMP ® ( Project Management Professional ® ) とは
PMI ® が主催するプロジェクトマネージャの国際的な資格試験。 PMBOK ® から出題され、資格を取得できると PMBOK ® を知っているという証明になる。

その方のプロジェクトマネジメントは教科書的に PMBOK ® をなぞったものではなく、それをアレンジして独自の実践的な体系が編み出されていました。PMBOK ® で言うとテーラード、守破離で言うと「離」の境地ですね。

また、PMBOK ® よりは PRINCE2 ®  のほうが日本社会にはフィットしやすい、という卓見をお持ちの方でした。

PRINCE2 ® とは
イギリス政府が定めたプロジェクトマネジメント手法。 PMBOK ® と異なり、プロジェクトにビジネス上の価値がなければストップする、経験学習モデルを取り入れている、などの特徴があり、アジャイルやリーン・スタートアップの影響が見受けられる。

―― そんな方がご担当となると、相当な知識が要求されそうですね?

そうなんですが … 、専門的な勉強をしていないとは言っちゃいけないと思っていたので、「知ってますし、出来ますよ」という顔をしていました。ただ、恐らく見抜かれていたと思います (笑) 。

その方から EVM をアレンジした進捗報告や、リスク分析・管理など様々な要求があり、それに応えているうちに、いつの間にか PMBOK ® の素晴らしさに気付いたんですね。恐らく教育していただいたんだと思います。

それからようやく重い腰を上げて、というより前のめりで PMBOK ® やプロジェクトマネジメントの勉強をするようになりました。

―― 実際、プロジェクトマネジメントを学んでみて、いかがだったのでしょうか?

人類全員が学ぶべきだと思うようになりました。

―― 人類全員ですか (笑)

そうですね (笑) 。プロジェクトは IT だけではないという考えから発展して、人生で直面したことがないことは、それはすべてプロジェクトである、と考えるようになったんです。

初めてのことでも、きちんとうまく進めたい、という動機がプロジェクトマネジメントの出発点であり、究極のゴールでもあります。そうなると、人類全員にそれぞれの人生で必要になります。

―― なるほど!人生そのものがプロジェクトの連続ということですね

例えば、就職活動もプロジェクトです。にも関わらず、自己分析をしましょう、履歴書や職務経歴書も書きましょう、面接対策をしましょう、などのテンプレートに頼ってしまって、あたかもルーチンワークかのような進め方をしてしまう。それで苦労する構図になっています。

そういうときにもプロジェクトを前進させるためのマインドや考え方、知識があれば、成功させるために必要なことを考えられるようになります。

―― 確かに、就職活動もプロジェクトですね。ということはプ譜も使えますね (笑)

はい、キャリアを考えるときにもプ譜は使えます (笑) 。

研修嫌いの自分が研修を受講して気付いた「自分で手を動かす」重要性

―― プロジェクトマネジメントに通暁されるようになって、講師として仕事を行うようになったのは、どのような経緯があったのですか?

3 社目の会社に在籍しているとき、 2 人目の子どもが生まれて、地域貢献活動もして、会社の経営にも参加して、大忙しだったんですが、それで体調を崩してしまったんです。

それで会社を 3 ヶ月休んだら、もしこれで転職したとしても、 4 社目 5 社目も同じようになるのではないかと思うようになって、独立したんです。

―― そのタイミングで独立だったんですね

それを機にライターやプロジェクトマネジメントの請負、 SaaS プロダクトの開発など模索しはじめたところ、以前のお客様から「プロジェクトマネジメントが得意なら、研修講師という道もあるのでは」と提案されて講師も考えるようになりました。

そこで「プ譜」をもとにした研修の企画をまとめて持っていくと、売れたんですね。

―― 講師の実績がないのに、企画が通るとは、それまでの信頼に加えて、需要をしっかり掴んだんですね

本と同様、やはりプロジェクトマネジメントで悩んでいる会社が多かったというのが背景にありました。

それで講師として登壇する機会も増え、独立後も順調に業績も伸ばせたのですが、どうも受講者の満足度が 80 点ぐらいでとどまることが多く、気になり始めました。

―― プロジェクトマネジメント同様、欲張りですね (笑)

(笑) でも、登壇するからには、やっぱり「人生変わりました」という言葉をいただきたいじゃないですか。

それで「研修嫌い」だったのですが、自分でいろいろな研修に申し込んで受講するようになりました。

自分で受講してわかったのですが、立派な講師がありがたい話をしても 80 点ぐらいだなと。いい話を聞けた、とその場では満足するのですが、自分で何かアクションしようとまでは思わず、そのまま忘れてしまうんですね。

―― よく言う “研修あるある” ですね

その受講した研修の中で一番満足したのが、ワークシートに一杯書いて発表するタイプのものだったんです。ワークシートそのものは 3 C などよく知った題材だったんですが、 “自分で考えて書く” という体験がとても良かったのです。

今までの私の研修は「いかに有益な、価値のある話をするか」だと思っていたところ、そうではなかったことに衝撃を受けました。

自分が考えやすい題材が用意され、自分が考えやすいガイドをしてもらって、自分で正解に近づける、という研修プログラムだと、忘れないし、次のアクションに繋がることに気付きました。

それで、これまでやっていた研修に、この要素を取り入れて、全部作り直しました。

―― それでワークシートの演習を中心にした今のスタイルになったんですね。効果はどうだったのでしょうか?

変えてみると、受講者の目も変わり、受講者自身が考えた上で質問をいただくようになり、受講者の次のアクションに繋がったと感じる、これまでにない手応えがありました。

自分でも講師をしていて楽しくなってきて、あるときには「講演をして欲しい」というオーダーのところ、それではもったいない、とそのお客様に伝えて、最短記録ですが座学 5 分、以降はワークシートで演習という研修も実施したこともありました。

―― 座学 5 分!? 講師の自己紹介で終わってしまう時間ですね (笑)

確かに (笑) 。それでもやっぱり、人間が本当に変わるには、やっぱり自分で実践しないとダメなんです。研修という形式ではありますが、そのなかでも、できるかぎり実践する時間を少しでも豊かにしたいんです。

一番初めのセミナーで無名だった自分ですが、このように考えられるようになって、実際に受講いただいた方々の「目からうろこが落ちた」「自分にもできそう」「早速実践します」という感想をいただき「講師としてもプロになった」という感覚になりました。

―― 素晴らしい!
では、受講者や研修ご担当の方に向けて、最後にメッセージをお願いします

これまでお話した通り、研修嫌いだった私のように、人間、研修がなくても、見よう見まねで、ある程度の実践はできると思います。

ですが、必要なタイミングで適した研修を受講すると、その学習曲線の角度を上げることができます。結果、実践だけで身につけるまでにかかる時間から比べると、短縮できるということです。

プロジェクトマネジメントを身につけたいと思われたなら、ショートカットして実践に繋げられるコースを開発しているので、ぜひ受講して下さい!

―― 今日はありがとうございました!

ありがとうございました。

後藤さん(左)とインタビュアーの寺井(右)

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