DX の動向からわかる DX人材 の育成の必要性とスキル|研修コースに参加してみた
今回参加したコースは DX の動向からわかる DX人材 の育成の必要性とスキル です。
2020 年末に経産省は DX レポート 2 を発表し、 DX が進んでいない現状を紹介していました。
このコースでは、その DX の現状と動向を紹介しながら、なぜ進んでいないのか、受講者のディスカッションも交え、探りました。そこで見えてきた人材不足について、 DX 人材に求められるスキルや育成すべきタイプを紹介いただきました。
今までの IT とそれを担う IT 人材と、 DX とそれを担う DX 人材で何が違うの? という疑問を持っていたのですが、そのフェーズの違いや求められることの違いがわかりました!
では、どのような内容だったのか、レポートします!
コース情報
想定している受講者 | 特になし |
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受講目標 |
|
講師紹介
AI など最新技術に関連するコースに登壇いただいてるのがクロノスさんです。今日は 藤丸 卓也 さんが登壇されました。
label藤丸さんの過去の登壇
DX の動向
総務省、経産省の動向や DX の定義を紹介いただき、もう少し詳しく DX をアプローチやフェーズにわけて解説いただきました。
DX 2 つのアプローチ
- 内部の業務革新
- やっていた業務を自動化して、ほぼ何もしなくてよくなる
- ex. 手書き用紙の入力がなくなる
- やっていた業務を自動化して、ほぼ何もしなくてよくなる
- 外部: データとデジタル技術を活用して新たなサービスを創出する
- デジタル中心
- まず内部から始めて外部に進むのが定石
- 革新とはなにか -> 「顧客体験価値」を創造する
- 機能、価格などのスペックだけでなく体験重視 ( UX や CX: カスタマーエクスペリエンス)
このお話を聞いて、例えば、 SEカレッジの受講者向け開発環境の構築も、内部業務を自動化すると DX になるのかも知れないと閃きました。
今まで内部のオペレータがクラウドで画面ポチポチしてインスタンスを作成していましたが、これを GitHub Codespaces にリプレイスすると、オペレータの画面ポチポチ作業はなくなり、また受講者はブラウザからクリック 1 つで開発環境を自動で立ち上げられます。とてもいい受講体験ではないでしょうか。
依然として講師が環境を作りますが、それも dockerfile のような設定ファイルを書くだけで配布する必要はなく、受講者に開発環境があるリポジトリの URL をシェアするだけです。
DX は新しい SaaS の導入でも出来るのかも知れませんね。
DX の段階
- デジタイゼーション ( Digitization )
- 紙などのアナログなものをデジタル化する
- ex. 写真を画像データに
- 紙などのアナログなものをデジタル化する
- デジタライゼーション ( Digitalization )
- デジタイゼーションでデジタル化したデータをもとに既存業務・事業を効率化
- ex. 写真の現像ではなく画像の出力
- デジタイゼーションでデジタル化したデータをもとに既存業務・事業を効率化
- デジタルトランスフォーメーション
- デジタイゼーションとデジタライゼーションを土台に業務革新・サービス革新
- ex. 写真共有サービス
- デジタイゼーションとデジタライゼーションを土台に業務革新・サービス革新
例えば、企業間の請求書決済は、コロナ禍により色々なサービスが生まれ、市場はホットですが、電子化をしている段階なので、デジタライゼーションの段階なのかも知れません。もう一段上に行くには、例えば、決済の次の業務、支払い・入金確認業務が、銀行を経由せずに自動で仮想通貨で行われる、という感じなのかも知れませんね。
また、最後の DX 領域に達するには、技術のジャンプが必要です。 DX 人材に求められるスキルに最新技術が入るのも頷けます。
なお、 3 段階のうち、どこから取り組むかは、自社の現在の位置によります。デジタライゼーションから DX には進めますが、デジタイゼーション前の状態から DX には一足飛びには行けません。
DX 実践事例
では、その DX をどのように実現しているのか、その代表的な事例が紹介されました。
ディジタルディスラプターと呼ばれるような有名な企業や大企業の事例として、メルカリや Amazon 、Uber が紹介されました。
また、国内の中小規模の事例としては、株式会社クラシックと横浜トヨペット株式会社の事例を紹介いただきました。
- 切り花の保存を行う冷蔵倉庫
- 従来はチャットで占有率などを共有していたが漏れがちだった
- ノーコードツールで 1 日で稼働状況・稼働率を把握できるモバイルアプリを開発
- 初回来店時にアンケートを手書きで書いてもらっていたが、営業担当が共有するまで時間がかかっていた
- Web アンケートを作成し QR コードからスムーズに入力してもらう
- アンケート内容をもとに、すぐに営業担当が提案できるようになった
株式会社クラシック: 輸入切花専門商社
横浜トヨペット株式会社: 自動車販売会社
DX の進捗
こういった DX はどこまで進んでいるのでしょうか。その現状を伺いました。
- DX に取り組み始めたのは大企業で 51 % ぐらいだけ。中小では 15 %
- DX が進まないとどうなるか
- レガシーシステムの維持費が高額化する
- 最大 12 兆円の損失 ( 2025 年の崖)
- なぜ進まないのか
- 契約がウォーターフォールに合わせたままになっている
- (情シス側の) IT 人材が不足している
- 外注のままでは遅い
- IT 企業を買収するとか、 IT 企業を R & D で借りるなどしないとダメ
- DX 推進担当者がいない
- 大企業でも DX 担当役員は兼任が 45 % 。中小だと DX 担当役員がいないのが 70 %
- システムが古い、連携できない
- 投資文化がない
こうした背景をもとに、このまま DX のボトルネックが原因で進まないとどうなるのか、受講者がグループに分かれて、 10 分ディスカッションしました。出た意見は以下のようなものでした。
- 内勤と現場で色が違う。認識違いが生じる
- データの活用、分析がうまくできなくなってくる
- 会社の成長が滞る、優秀な人材が採用できなくなる
- 新しいサービスを生み出さないと競合他社に負ける、会社成長しない
- 社会のニーズに応えられない
- IT 業界が衰退していく
DX が進まない背景を探ると、「人材がいない」ということに起因して、他のボトルネックに繋がっていそうですね。
では、この人材育成をどうするのか、解説は進みます。
DX 人材に求められるスキル
では、「 DX 人材」にはどのようなスキルが求められるのか、基本スキルを解説いただきました。
- IT 関連の基礎知識
- DX はデジタル技術の活用なので不可欠
- アジャイル型のマインドセット
- スピード感を持って不確実なものを潰していく
- プロジェクトマネジメントスキル
- 納期や予算、必要な人員を適切に管理し、外部とのコミュニケーションを図りながらプロジェクトを成功に導く
- 先端技術に関する知見
- 先端技術を組み合わせることでイノベーションが生まれる
- データ収集と活用法
- 問題発見や価値検証、 AI での価値提案などができる
基本スキル
これらのスキルを全部 1 人で持たなくても、チームで役割を分担しても OK とのことでした。
IPA はこれらのスキルを 7 つのタイプの人材に分けています。
- プロダクトマネージャ
- ビジネスデザイナー
- テックリード
- データサイエンティスト
- 先端技術エンジニア
- エンジニア / プログラマ
- UI / UX デザイナー
DX 人材 7 つのタイプ
この人材タイプの解説を終えたところで、最後の質疑応答に移りました。
先程の 7 つのタイプのうち、最低限必要な人材はどれか?
- プロダクトマネージャとビジネスデザイナーがいないと業務革新は難しいだろう
- つまりユーザ企業にはこの 2 つのポジションの人がいないとだめ
- 他は DX 化する対象によって必要になる
- 本来は内部育成するのがよいが、難しいときは外注するのでもよい
- SIer はこの技術的な支援が必要なときに呼ばれる
確かに、ユーザ企業にプロダクトマネージャがいないことには進みませんね(個人的にはビジネスデザイナーの職務内容をみるとユーザ企業にこそ多そうです)。
とはいえ、このポジションは失敗を繰り返しながら成功に結びつけるので、ユーザ企業内に失敗から学ぶ文化が無いと厳しく、これが一番難しいと個人的には思います。リスクを取っても失敗を詰める文化では、挑戦したいと思う人は出てきません。
なお SIer は技術的な支援が必要なときに呼ばれる、というのは 2020 年 12 月に発表された DX レポート 2 でも
「ベンダー企業の役割は労働力供給から高スキル人材によるスポット的支援等にシフトしていくのではないか」
DX レポート 2 中間とりまとめ (概要) 17 ページより
とあったことと符合しますね。
以上のような質疑応答をもって、このコースは修了しました。
まとめ
このコースでは、 DX の動向を見ながら、そのボトルネックを探りました。そこで見えてきた「 DX 人材の不足」というボトルネックに対して、必要なスキルと育成について解説いただきました。
また、さらに突っ込んで、最後の質疑応答で藤丸さんのお答えから、ユーザ企業に必要なのは「プロダクトマネージャ」の育成、 ベンダー企業にはプロダクトマネージャ、ビジネスデザイナーを除く、「テックリード」、「データサイエンティスト」など DX 人材の 5 つのタイプの育成が求められる、ということがわかりました。
こうなると、あとはそれぞれのタイプの育成方法になりますが、それこそ多くの書籍や知見がインターネットにあるので、この大枠がわかるだけでもとても助かりますね。
自社のポジションから必要な DX 人材のタイプを探る上では、とてもオススメのコースでした!
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