講師インタビュー 冨原 祐 「講師を一生の仕事にする」
研修で「何を学ぶのか」も重要ですが、 「誰から学ぶのか」も重視される時代。SEプラスの研修で登壇する講師がどんなことを思いながらコースを実施しているのか、講師にインタビューしています。
今回はテクノロジなどの分野や新人研修プログラム DOJO でも登壇する 冨原 祐 さんです!
冨原さんが「講師を一生の仕事にしたい」と決意するに至った経緯や、これから目指していることを伺いました!
株式会社 3plus 取締役。普段はアーキテクト、プロジェクトマネージャ、プログラマとして活躍。その一方で、現場経験を活かし近年は C# 、 Java を中心とした技術的なテーマや、情報処理試験対策など講師として多数の登壇実績を積む。講義は熱いが接しやすく、受講者からの信頼も厚い精鋭講師。
長い休暇には石垣島などでスキンダイビングをする “インドア” 派。曰く、海に潜ると静かになるのでインドアと変わらないとのこと。
インタビュアー: SEプラス 寺井 彩香
5 歳からリファレンスをもとにゲームをプログラミング
―― 冨原さんは新人研修サービスの DOJO の開発演習プログラムや SEカレッジ ではプログラミングのカテゴリでよく登壇されています。どのようなキッカケでプログラミングを始められたのですか?
マイクロソフトとアスキーが一般家庭への普及を目指して 1983 年に提唱したパソコンの統一規格の名称。キヤノンや富士通、日立製作所などがその規格に基づき発売した。同年に任天堂がファミリーコンピュータを発売し、ゲーム機と捉えられることもあった
―― 5 歳からプログラミングとは! とっても早いですね
MSX と言っても、チップなどが詰まっただけの、ただの箱だったので、ゲームプログラムを書かないことには遊べなかったんですね。なので、分厚いプログラムリファレンスを渡されて、それをもとにゲームプログラムを書いて、遊んでいました。
ただ、友だちはそんなことをしなくてもファミリーコンピュータでゲームをしていたので、それが正直、羨ましかったですね(笑)
―― では、そのまま学校も仕事もプログラミング 1 本だったのですか?
いえ、コンピュータオタクではあったのですが、あくまで趣味としてやっていました。またそれが仕事になるとも思っていなかったですね。
―― そうだったんですね。 IT エンジニアになる前は何をされていたのですか?
法人向け電話機の営業をやっていました。就職した会社は全国に支社があり、営業だけで 500 人ぐらいたのですが、そこでトップセールスになって表彰されたことは今でもよく覚えてます。
―― 営業とは驚きです。それから、どのように IT エンジニアになられたのですか?
営業時代の先輩がパソコン教室で働いていて、誘われてプログラミングを教えるようになったんですね、そこで驚いたのが、プログラミングを教えると喜ばれるということでした。
それがキッカケで「プログラムを書くことが仕事になるのか」と気付いて、プログラマになりました。
―― プログラマとしてどんな仕事をされていたのですか?
当時は IT がこれから使われ始めるという時代だったので、まだ小さなシステムが多く、プログラマ 1 人で開発が完結していたんです。 設計なども知らず、お客様の悩みや課題を聞いて、それをプログラムで解決することを繰り返していました。
そんな時代ですから、設計のやり方など誰も教えられることもなく、現場で必死に独学しました。
講師オーディションで行った模擬講義が「このまま研修で使えるね」と評価される
―― 講師をするようになったのはどのような経緯があったのですか?
三好 康之さんという尊敬する IT コンサルタントの方がいて、偶然、 JISTA * の集まりでお会いして話すうちに、「何か一緒にやろう」と声をかけて頂きました。
当時、独学では限界を感じて、しっかり基礎知識を身に着けようと情報処理技術者試験でドンドン資格取得していたのですが、その対策講座の講師としても三好さんは有名だったんです。
情報処理技術者試験の最高峰の 1 つ IT ストラテジスト試験の合格者が集まって活動している団体
―― では、三好さんをみて講師になろうという気持ちになったのですか?
いえ、そんなことはなく、「講師もできるなんてスゴいなぁ」と思うぐらいで、なれるとは全く思っていなかったですね。
ただ、そのあと三好さんが「講師になりたい IT エンジニアを探そう」と SEプラスと共同でプロジェクトを立ち上げて、講師オーディションのようなものを開催すると告知されたんです。
それを見て「楽しそう!」と思って、スグに飛びついたんです。
―― その講師オーディションではどんなことをされたんですか?
40 分の時間を与えられて、そこで模擬研修をしたのですが、当時は要件定義や設計など上流工程はできるものの、プログラミングが苦手なシステムエンジニアが多く、そういった方に向けた「プログラミングができる幸せ」というコースを作って、講義しました。
―― それは面白そうですね! 気になるオーディションの結果は…
最後に三好さんから「普通にこのまま研修で使えるね」という評価をもらったんです。他に参加していた方も沢山いたので派手に喜べなかったのですが、内心、ガッツポーズしてました(笑)
―― それから講師として登壇されるようになったんですか?
そうですね。最初はもちろん全然出来なかったので、練習を繰り返して三好さんからダメ出しをもらいながら講師としてスキルアップして、情報処理技術者試験対策を中心に登壇する機会が増えました。
新人研修に携わって「講師を一生の仕事にする」と決意
―― その後、 SEカレッジでもテクノロジ分野で登壇いただく機会が増えたのですが、講師の仕事はいかがでしたか?
楽しかったのですが、ただ慣れていくにつれ「こんなものかな」と思っていたところ、 SEプラスから「 DOJO 」という新人研修プログラムでの登壇を打診されて、それが転機になって「講師を一生の仕事にしたい」と思えるようになりました。
―― それはうれしいですね! どうして、そう思うようになったのでしょうか?
自分が 100 時間かけて独学したことを、 30 時間で教えられたら、新入社員の方々は 70 時間は新しい学習に使えて、もっと違うことができるようになる。それはとてもハッピーなことですよね。
それを実感するようになって、新入社員の方々が 10 年 20 年後にどうなっているのかが楽しみになったんです。
―― いいですね! 新入社員の方々にはどんなことを教えようと心がけているのですか?
当たり前ですが、新人研修期間中に技術をすべて教えることは出来ず、また研修後に長い IT エンジニアとしての人生が待っているのですから、自分で自分の成長を考えられるようにならないといけません。
それを手を変え品を変え伝えているのですが、あるとき新入社員の方から「違和感をそのままにしないことが重要だとわかりました」と言われ、その言葉に自分でどのように成長できるか考えた結果が表れていて、とてもうれしかったですね。
こういうことが起こるので、新人研修中は毎日とてもうれしく、とても楽しいですね。
―― そのエピソード、いいですね! 確かに DOJO の受講企業のご担当者から「講師がよかったという評価があったのは初めて」と仰っていただいたので、そういう背景もあったのかも知れませんね
それはありがたいですね。
新入社員の方々にとってはこれから仕事で費やす時間のほうが長くなるので、その時間が少しでも楽しくなるように、これからも IT や技術が好きになるように工夫したいですね。
また最近になり、今度はそれを普段 IT とは関わりがない一般のビジネスマンの方にも伝えたいとも思っています。
―― SEカレッジでも一般のビジネスマンへのコースを増やしているので、とてもいいですね。
では、これからの目標を伺えますか?
コロナ禍でオンラインでの研修が増えました。そうなると録画済みの動画を受講することと、ライブで受講することの差が見えにくくなりました。これを「ライブで受講する方がよい」と言われるぐらい、魅力的にしたいと思っています。
―― 私たちにとってもそれは課題なので、一緒に解決しましょう!
では、最後に受講される方へのメッセージをお願いします!
IT エンジニアは自身のスキルが物を言う世界なので、どうしても「これからやっていけるか不安」という気持ちになることもあると思います。
私の場合は、先を見過ぎず、目先のことで「楽しそう」と思ったことをやってきて今に至っていますので、ときには「楽しそう」という気持ちを大事にするのが良いと思います!
私の研修でもその「楽しさ」に繋がることを伝えたいと思っています!
label冨原さんの登壇コース(抜粋)
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当時としては珍しいのですが、 MSX * というパソコンを父親が買ってくれたのがキッカケです。それが 5 歳のときでそれからプログラミングを始めたので、もう 40 年近くやっていますね。