特集「オンライン研修で講師が求められること」

リモートワーク…
皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
僕の場合は 2 月の中旬から自発的に自粛をはじめ、 3 月からは “研修講師” として の仕事をすべてオンライン(リモート)に変えました。
“研修ごとき” でクラスタを発生させるわけにはいきませんからね。
当たり前ですが、受講される方の “本業” の方が大切です。 “研修” を受講したばかりに “本業” がストップしてしまうなんてことになると本末転倒。世間からも「なんでオンラインにしないの?」って批判されることぐらい容易に想像がつきます。
もくじ
オンサイト研修とオンライン研修は全く別物
とは言うものの、オンサイト(実地参加)の研修とオンラインの研修は全く別物です。そもそもこんなに違うのですから(下表参照)。
オンサイト研修 | オンライン研修 | ||
---|---|---|---|
環境の違い | 没入感 |
あり。周囲全てが “研修” を受ける環境になる。 |
なし。周囲には様々な情報がある。研修はあくまでも “小さな画面の中” 。 |
臨場感 |
あり。熱量が伝えられる。 “声の大きさ”や “間(ま)”で飽きさせないようにできる。 |
なし。二次元なので、どうしても弱い部分になる。 |
|
阻害要因 |
特に無し。携帯電話等も禁止事項にできる。 |
仕事、プライベート関係なく割込みが入る。中断する。 |
|
受講生の心理状態の違い | 気合と覚悟 |
自制心が弱くてもなんとかなる。現場に向かう、環境を利用する、諦めや覚悟もある。 |
自制心が弱いと、有益でない研修に対して徐々に怒りが湧いてくる。そして二度と見るか!と決意する。 |
集中力 |
集中しないといけないという雰囲気の中、諦めもあって自発的に集中してくれる。 |
残念ながらほとんど期待できない。 |
|
持続力 |
学校教育で 40 分~ 90 分に慣れている。 30 分程度なら惹きつけられるし、 60 分に一度の休憩でもなんとか持続できる。 |
よほどの欲求が無い限り 5 分~ 10 分程度。 |
そこそこ “主観” が入っていますが、あながち遠くはないと思います。僕の強みは “平凡であること” ですからね。
細かい部分を挙げればきりがないので大きな違いだけを列挙しました。それでも全然違いますよね。
オンサイトは “舞台” 、オンラインは “映画”
その違いを例えるのなら、さながら “舞台” と “映画” の違いだと考えてもらえればいいのかなと思います。あるいは次のような違いですね。
- オンサイト研修
- 舞台、ライブ、現場
- オンライン研修
- 映画、ドラマ、MV(ミュージックビデオ)、スポーツ中継
この例えは、舞台好きの人にしかわからないかもしれませんが(笑)。
要するに、 “コンテンツ”に対する “魅せる工夫” が違うのです。
オンサイトでは、その場の環境全てを味方にすることができました。フィルターを通さないので音を五感で伝えることができるわけです。
したがって、通常の…いわゆる “プレゼンテクニック” と “演技力” ぐらいで何とかなります。
しかも、僕のようにノープランで研修をする人は、受講生の反応を見ながらアドリブで順番を組み替えたり、即興で別の話を入れたりすることができるので、それに頼ることもできるわけです(もちろんその日に伝えたい、伝えなければならないことは頭の中には常にあるので、そこはぶれません)。
他にはそう…受講生が研修時間中は逃げられないことを利用して、あえて面白くない話から入って、後半盛り上げていくっていこともできますしね。ほら「プレゼンは、最初(入り、つかみ等)と最後(締め、終わり方、まとめ方)さえちゃんとすれば、それなりに満足度は上がる」って言われてたりもしますよね。
しかし、オンライン研修の場合の “コンテンツ” では環境を味方にできません。 “コンテンツ” は、あくまでも限られたパソコンやスマホの画面の中なのです。 “プレゼンテクニック” も “演技力” も大した武器(魅せる工夫)にはならないのです。
それだけでは、よほどモチベーションが高いか、必要に迫られているかしないと受講生は見てくれないでしょう。
オンサイトの要領で、ただただカメラの前で話すだけというのは、一時的なものならいざ知らず、それを継続するとなると…そのうち誰も見てくれなくなるはず。
それだけは避けたいですよね。
オンラインでは “プレゼンテクニック” と “演技力” ではなく、あるいはそれらに加えて、新たな武器が必要になる!
そこで。
オンライン配信だけで行うオンライン研修では、オンライン研修ならではの “新たな武器” を身に着けましょう!
僕自身も、今、急ピッチで変えています。
ほぼゼロベースですべてを変えようとしています。
もちろん僕も、研修のネット配信や収録は、これまで何度も経験しています。
しかし、オンサイトの講座を現地で受講できない人向けに収録するケースばかりで,あくまでも主流はオンサイトの講座でした。したがって、オンラインに特化したコンテンツにはなっていません。
それに対して今回はネット配信が主になります。
したがって、変わらないと通用しないと焦っているわけです。
では、具体的にどういう “新たな武器” を手に入れればいいのでしょうか?
それは次回以後、お伝えしたいと思います。
特集記事 目次
投影するスライドはそのままでいいのか?を考える

株式会社エムズネット代表。 大阪を主要拠点に活動するITコンサルタント。本業のかたわら、大手IT企業のITコンサルタント、プロジェクトマネージャやITエンジニア向けに、資格対策研修やプロジェクトマネジメント研修などを実施している。
保有資格は、情報処理技術者試験全区分(累計30個、内高度系23個)をはじめ、IT コーディネータ、中小企業診断士、技術士(経営工学)、販売士1級 など多数。
- オフィシャルブログ
- 「自分らしい働き方」Powered by Ameba
- 主な著作
- 情報処理教科書 プロジェクトマネージャ(翔泳社刊)
- 情報処理教科書 データベーススペシャリスト(翔泳社刊)
- 情報処理教科書 高度試験 午後Ⅰ記述(翔泳社刊)
- ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本(翔泳社刊)