若手に受けて欲しい!! ルーティング の仕組み ( 入門 編) 研修コースに参加してみた
今回参加した研修コースは 若手に受けて欲しい!! ルーティングの仕組み です。
このコースの後続として実践編があるのですが、このコースではその実践で必要となる仕組みを講義主体で学びました。
講義主体とは言え、講義の進め方がとても理解しやすく、絵などを使って全体の体系から広くガイドしながら、詳細に説明されるので、「なぜ、そうなっているのか」がわかりました!
そのお蔭で、仕組みを知れば知るほど、シンプルで単純な処理でネットワークが繋がっていて、そうしないとレイテンシが出てしまうんだなぁ、と気づけました。逆にシンプルなことしか出来ないために、数多くの設定が必要になり、さらにはその設定ルール(プロトコル)を知る必要があるのですね。
では、どんな内容だったのかレポートします !
もくじ
コース情報
想定している受講者 |
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受講目標 | ルーティングの仕組みと代表的なルーティングプロトコルについて理解し、基本的な設定がわかる |
講師紹介
インフラ系と言えば、 新谷 泰英 さん です。 新谷さんはホワイトボードにネットワーク図を書きながら、説明されることが多いのですが、これがとても上手くてわかりやすいんです。
この「参加してみた」レポートにも図を入れていますが、これはすべて新谷さんが書いたホワイトボードの図をそのままトレースしたものです。
どうすれば技術を身につけられるか、理解できるか、研究しつづけるインフラ系の人気トレーナー
ルーティングとは?
まずはルーティングとは何をするものか、ザッとホワイトボードに説明いただきました。
- ルーティングとは経路選定
- 数のネットワークに繋がっていることが多いので、目的地に向けて最適なルートを考える
- ルーティングの基本は IP
- Internet Protocol インターネットプロトコル の略
- パケットを分割して送る
- 1 個 1 個を少ない処理で送る (丁寧に送ると回線が渋滞する)
- Hop by Hop Routing という方式を使っている
- ネットワークアドレスを使う
- 接続しているネットワークを Hop しながら目的のネットワークを目指す
- 例えば、 A から G に行きたい
- A-B-D-E-C-F-G
- 予め最適経路を計算しない
- 膨大になってしまう
- A がやることは G への最適経路を計算するのではなく、繋がっている B か C を選択するだけ
- 選択が必ずしも正しい訳ではない (ミスを許容している)
- 見た目上の距離だけでなく回線速度や混雑状況も影響する
TCP/IP
では、その IP について、さらっとおさらいします。
- IP アドレス
- 192.168.17.88*
- [192.168.17.][88*]
- [ネットワークID.][ホストID]
- ネットワーク部.ホスト部ともいう
- なぜ 192.158.17 と 3 つも使うのか?
- サブネットマスクでネットワーク ID がどれか指し示している
- 255.255.255
- /24 と書かれることもある ( CIDR表記、 Prefix 値とも言われる)
- パケット
- 直接配送と間接配送がある
- 直接配送: ネットワークで繋がっている機器を直接繋ぐ
- MAC アドレスだけで届く
- L2 ともいう
- 間接配送: 先に出てきた Hop by Hop で目的地を繋ぐ
- IP アドレスを使う
- パケットの経路の宛先と目的地の宛先、 2 つが必要になる
- L3 ともいう
- 直接配送: ネットワークで繋がっている機器を直接繋ぐ
- 直接配送と間接配送がある
その IP が実際にどんなものかコマンドプロンプトで ipconfig /all
を実行して確かめました。
特殊な IP
ipconfig /all
で出てきた IP の中で、特殊な IP を紹介いただきました。
- ホスト ID が「 0 」
- ネットワークアドレス
- 192.168.17.0 /24
- ホスト ID がすべて「 1 」
- ブロードキャストアドレス
- 192.168.17.255 /24
- 0.0.0.0
- あとで解説します!
- デフォルトルートを表現するために使う
MAC アドレスを辿るために LAN 内の機器にすべてブロードキャストして特定しているんですね。
この話を伺うと、丁寧に送るのではなく簡単・単純にやる、というところがわかります。
ルーティングの仕組み
ここから本題です。
- パケットに入っている宛先の IP アドレスを取り出す
- ルーティングテーブル (表形式の地図) を参照する
- 速さを重視して最適ルートの計算処理はしていない
- テーブルにない IP アドレスがあればパケットを破棄する
- ルーティングの難しさはこのルーティングテーブルにある
- メトリクスと呼ばれるコスト、通信速度が速いほうが選ばれる
ルーティングテーブルとは
- 宛先のネットワークと経路をまとめた一覧表
- 転送先はネクストホップと言われる
- ルータに直接つながっているネットワークは簡単
- 自動で設定される
- 問題は Rt1 から見た (3) の経路情報
- 人間が設定するか、自動で設定するか、どちらかで追加する
- 補足として、この図にない (5) のネットワークが送信先と指定された場合
- 「すべて」を追加して、とりあえず転送する
- これが先程のデフォルトルート
他のルータに問い合わせたりすることなく、ただただ、自身の一覧表をみて無ければパケットを捨てます。本当に仕組みそのものはシンプルに簡単にしているんですね。
ルーティングテーブルの設定方法
では、そのルーティングテーブルをどのように設定するのでしょうか。
- 直接接続
- ルータのインターフェイス(ポート)に割り当てた IP アドレスとサブネットマスクを登録する
- スタティックルート
- 手作業で経路情報を登録
- ダイナミックルート
- ルータ同士が情報交換して自動で登録
ちなみに、ルーティングテーブルにもし同じ宛先に経路が 2 つあった場合、上の順番で優先されます。(直接接続 > スタティックルート > ダイナミックルート)
なお、このスタティックルート、ダイナミックルート、これは何度か「参加してみた」レポートでも出てきましたので、ここでは割愛します。
ルーティングプロトコル
そのダイナミックルートで使うルーティングプロトコルです。
ダイナミックルート | |― 大規模: EGP: 70 万経路を記憶できる -> インターネットで使われている | |― 中小規模: IGP | |― ディスタンスベクター RIP など | |― リンクステート OSPF など | |― その他 EIGRP
- EGP ( Exterior Gateway Protocol )
- BGP で実装されている
- 経路情報をまとめている
- ex. 192.168.0.1, 192.168.1.0 … RtA -> 192.168. RtA
- IGP ( Interior Gateway Protocol )
- ルータの数 (距離や方向) で経路選定する: RIP など
- お手軽、カンタンな仕組みなので、今日この教室だけで使う、といった用途
- 通信速度 (混雑具合は処理が重いので加味されない) で経路選定する: OSPF など
- もっとも使われている
- 隣同士を繋いで情報交換をしながら全体地図を各ルータが持っている
- 処理負担が重い…
- ルータの数 (距離や方向) で経路選定する: RIP など
- ハイブリッド EIGRP
- Cisco 独自のプロトコル (経路情報を 2 つ持っている)
その他 Cisco 資格で試験に出るクラスフル/レスルーティングプロトコルや、同じ経路に複数経路があるときにどういう基準があるのか、ロンゲストマッチ、アドミニストレーティブディスタンス・メトリックなどについて紹介頂き、このコースは修了しました。
まとめ
このコースでは実践編で必要となる仕組み (知識) を、講義主体で学びました。
ルーティングをはじめ、ネットワークはコンピュータが考えずに転送できるよう仕組み (ルール) が作られ、それが徹底されていることがわかりました。とはいえ、ルーティングテーブルの作り方を見ていると、 OSPF など頭のいい自動化のやり方でコンピュータに負担はかかるものの、便利さと確実に届くことを担保していたり、知れば知るほど、とても興味深いですね。
ネットワークを学び始めたけど面白い! と思った方には、ルーティング全体の地図を得るようなコースなので、とてもオススメです!
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