声で一緒に盛り上がろう!「AI」を活用した社内会議運営術|研修コースに参加してみた
今回参加したコースは 声で一緒に盛り上がろう!「AI」を活用した社内会議運営術 です。
この1年ほど、IT関連の最大の話題といえば生成AIですよね。一般のニュースなどでも日々、生成AIの話題を目にします。
ただ、仕事にうまく活用すれば生産性が大きく向上しそうなものの、では自分の仕事で具体的にどのように使うと効率が上がるのかというと、悩んでしまいます。
そこで今回のコースでは、どの会社にもある社内会議を題材に、各種AIツールを活用する方法を考えます。
ちなみに、「声で一緒に盛り上がろう!」というのは、AI活用法の一つとして生成AIと声でコミュニケーションすることから来ているようです。コースの中で受講者が声を出して盛り上がるというわけではないので、シャイな方やオフィスなどから参加する方もご安心を。
では、どのような内容だったのか、レポートします。
コース情報
想定している受講者 |
|
---|---|
受講目標 |
|
講師紹介
このコースで登壇されたのは 川崎 崇史 さんです。
日本アイ・ビー・エムにてERP(Enterprise Resource Planning:業務パッケージ)コンサルタント兼エンジニアとして、通信、金融、流通、製造と、様々な業界の業務システム構築に携わる。
その後、アップルジャパンへ入社。教育分野へのソリューション開発者兼営業担当者として、日本初となる授業システムの構築や、同時期に日本に上陸したスマートフォン端末を使った新しいソリューションの開発など、最先端の現場を経験する。
現在は、人材育成会社「株式会社マイウェイ」を立ち上げる。コンサルタント、エンジニア、物書き、絵描き、経理、総務、戦略企画、その他諸々、会社業務に関わることはなんでも行う、所謂なんでも屋。ENEOS様の社内公式研修をはじめ、数多くの企業様に向けて人材育成の研修・コンサルティングを実施。サイトや書籍を通じて多くの人が参加している「楽しく技術を学ぶコミュニティ『さるでき』」の管理人でもある。
■主な著書
『RPAのはじめかた』(技術評論社)
『WordPressサイト作成塾』(技術評論社)
『iPhoneアプリ開発塾』(技術評論社)
『iPhone 同人誌の創り方』(飛鳥新社)
生成AIと一緒に盛り上げる会議
会議にAIをどう使えるかを考えるために、まず会議の段取りを6段階にバラして考えてみます。
- テーマ決め:どんな会議にするかテーマを検討
- 情報収集:テーマに従って必要な情報を集める
- 情報共有:集めた情報を整理してメンバーに共有
- 会議実施:会議を実施してさまざまなアイデアを検討
- まとめ&ToDo:内容をまとめてToDo化
- 実行:ToDo上のタスクを実行に移す
このうち、「実行」以外の1〜5は、生成AIを使えそうです。
では、具体的に使える生成AIツールの例を見てみます。
- ChatGPT
- 生成AIが躍進するきっかけになったサービス
- 対話型の生成AI
- たとえば、アジェンダを出してもらったり、それをもっと短くしてもらったり
- 素の情報を返すというより、壁打ちにたけている感じ
- Bing AI Chat
- ChatGPTに類似した対話型の生成AI
- いちばん大きな違いは、検索と一緒にAIを使えること
- どちらかというと情報収集寄り
- Notion AI
- メモ帳の便利なもののような「Notion」に、AIの機能が追加された
- たとえば、ニュースの内容をNotion AIにまとめてもらう
- Slack
- ビジネスチャットSlackにもSlack GPTという生成AIが導入される予定
- チャットの内容をまとめたり、ちょっと情報を足したりということができると考えられる
- CLOVA note
- LINEの音声文字起こしアプリ
- 会議で話し合ったあとに使える
- 議事録をできるだけ手間なく、というアプローチ
- 生成AIは文字を入力するイメージがあるが、音声と組み合わせるのも面白い
- Todoist
- TODOリストアプリ
- AIアシスタント機能が加わってきている
- たとえば大きすぎるタスクを分割するのを自動でやってくれる
会議の流れのそれぞれに合ったツールがあって、そこにAIが加わってきた感じですね。
AIに会議に参加してもらおう
実際にGoogleのAI機能を会議で使う例を、川崎さんがデモしました。
まずはGoogle Bardです。
- Googleによる対話型の生成AI
- いまのところタダ
- 音声入力と出力をシンプルに使える
デモでは、「上手な会議の進め方を、ものすごく簡単に説明してください」と音声入力して、回答も音声で読み上げさせていました。落ち着いた音声なので、回答をうけいれやすいと感じますね。
あまり堅くない会議で使うと、いまなら盛り上がるかも。このへんがコースタイトルの「声で一緒に盛り上がろう!」の所以ですね。
もう1つの例として、Googleドキュメントの音声入力の機能をデモしました。
- PC版もスマホ版もある
- ChromeでGoogleドキュメントを開くと、「音声入力」のメニューがある
- どういう意味で使っているかを考えて、漢字変換しようとしてくれる
- CLOVA noteは発言者認識などもあって高機能だが、ふだんGoogleドキュメントを使っている人はそのまま使える
とはいえ、文字起こしをそのまま議事録にできるかというと、厳しいものがあります。そこで、文字起こしした内容を生成AIに要約してもらいます。
- ChatGPT Plusのファイルアップロード機能
- テキストをアップロードしてまとめてもらう
できあがったものは、人手でまとめた議事録よりはざっくりとした感じですが、だいたいの雰囲気としては使えそうです。自動で議事録ができるなんて、未来感ありますね。
Makeで自動化
複数のツールを組み合わせることで、役に立つものができそうだということがわかりました。
そこで、複数のツールを使った作業の組み合わせを自動化する Make というオートメーションツールを使ってみます。Zapierや、MicrosoftのPower Automateなどと同じタイプのツールです。
- 処理の流れを表す「シナリオ」を作る
- 1000種類以上のサービスをグラフィカルに組み立ててシナリオを作る
- テンプレートもたくさん用意されている
- あとはボタンを押して実行、またはスケジューラーから実行
コースでは以下のようなシナリオをデモしていました。
- Googleドキュメントに音声入力したファイル
- OpenAIに渡して内容をまとめてもらう
- 別のGoogleドキュメントのファイルにまとめる
生成AIは間口が広いので、かえって何に使えば業務の生産性を上げられるかが難しいところがあります。それをMakeなどを使って対象を明確にすることで、何に使えるかを考えやすいところがありそうです。
生成AIを使うときのヒント集
最後に、生成AIを使う上での注意点の話がありました。
- 生成結果の著作権の問題
- 生成結果が学習元の著作権に触れてしまう可能性
- 画像を生成する生成AIでよく出てくる
- 各社いま全力投球で取り組んでいるが、まだ歴史が浅いので決めきれていないところがある
- 学習には膨大なデータが必要なので、1件1件許可をとるのは難しい
- 有料プランに加入すべきかどうか
- 無料版の制限にはいくつかのパターンがある
- 機能制限。お金を払うと開放される
- 回数制限。お金を払うともっと使える
- 試行錯誤しにくいので生成AIとの相性がよくない
- 使い放題プラン。加入すればいつでも何度でも使える
- 企業向けプラン
- 自分だけの情報を扱う
- 使う側は、まず無料で使って、気にいったものを有料にするのがよいのでは
- 無料版の制限にはいくつかのパターンがある
- プロンプトの質問のしかたの工夫
- 条件を設定する
- 役割:文章の雰囲気がガラっと変わる
- 対象:対象をしぼりこんで具体的に
- お題:ここが質問本体
- (ここまでの3つを特に覚えておくとよい)
- 形式:分量やニュアンスなどを細かく調整
- 補足
- 生成AIを使う際に気をつけること
- OpenAIも「AIによる自動化によって処理された結果は、必ずしも正確であるとは限りません」と言っている
- AIの結果は慎重に検証する
- 生成AIで作ったものは、AIが関与していることを誤解なく伝える
まとめ
以上、会議を中心に、実際の仕事で生成AIがどんなところに使えそうかを見てきました。
生成AIは、現在はいくつか課題はありますが、駆け足で成長していて、どんどん新しくなっています。特に、MicrosoftがOfficeに生成AIを入れるということで、利用が進みそうです。
そのぶん、ちょっと目を離すと追いていかれてしまいそうですが、苦手意識を持つより、まずはとりあえず使ってみるのがよさそうです。このコースがその参考になればと思います。