MaaS が社会を変える ~移動革命に見る未来~|SEカレッジ ITフェスティバル2023 開催レポート
2 日間にわたり 9 つのテーマでセッションが行われた 「 SE カレッジ IT フェスティバル 2023 」 から今回は 「モビリティ」 をテーマとした 「 MaaS が社会を変える~移動革命に見る未来~」をレポートします。
コロナを通じ、以前にも増して MaaS に注目が集まっています。
その高い注目度の一方で、参入障壁の高さから、日本での普及はこれからという段階です。 つまり、まだチャンスがあります。
ただし MaaS の動向は移り変わりが速く、またスコープも広いため、なかなか巨視的に見るのが難しい領域です。 この講演では MaaS の参入障壁をものともせずスタートアップし、日本の MaaS そのものを引っ張る第一人者、 日高 洋祐 さんをお迎えし、 MaaS の今と未来を紹介いただきました!
ぜひご覧ください!
日高 洋祐
株式会社 MaaS Tech Japan 代表取締役 CEO
一般社団法人 JCoMaaS 理事
もくじ
MaaS とは
自動運転の現状
写真は運転席のない自動車のようなバスのような、シャトル型モビリティです。
次の写真は「空飛ぶクルマ」というもので、垂直離着陸ができ、ドローンのように人を運ぶものが発表され、大阪万博での実現が目指されています。
MaaS の発展 ~ MaaS コントローラで地域課題の解決やゼロカーボンを実現する
コロナで起こった移動需要の減少や、大規模イベントのような急激な移動需要の増加など、地域内の移動需要の変動を把握・予測。 それをもとに電車やバスなどの運行本数 / ダイヤを調整したり、通勤ラッシュの混雑を解消するなど、地域内の様々なモビリティに関する問題の解決を目指しています。
仕組みとしては、地域のバスやタクシー、カーシェア、サイクリングなどの台数、電車の本数など地域内の供給量を MaaS アプリなどから把握し、人の移動需要もスマートフォンを経由して計測します。 その需要と供給を取り込むと、例えば、ゼロカーボンの実現に、公共交通を増やせばよいのか、自家用車の EV 化がよいのか、最適化な方法を考えられるようになります。
この MaaS コントローラとしてドイツの Trafi 、シンガポールの mobilityX などのアプリが海外で登場しています。 日本でも、私ども MaaS Tech Japan が MaaS アプリと MaaS コントローラに加え、データ統合基盤もある MaaS プラットフォームを提供しています。
この MaaS コントローラの事例としてウィーンがよく知られています。 ウィーンでは MaaS アプリの共通基盤を構築し、そのデータをもとに移動手段の転換を図っています。 これにより CO2 排出 / エネルギー消費を抑えることを目指しています。
日本でも塩尻市や広島県が MaaS Tech Japan のプラットフォームを利用し、移動需要の拡大や交通機関の最適化を図ろうとしています。
MaaS の未来は Smart City (スマートシティ)へ
MaaS の次、 Beyond MaaS では異業種との連携が進む
IT の世界では通信インフラが従量制から定額制に変わり、それによってコンテンツも個別販売から NETFLIX のようなパッケージ化が進みました。 モビリティでも MaaS アプリによって交通インフラも定額制・パッケージ化が試行されています。
こういった MaaS が進んだ先、 Beyond MaaS に何があるのでしょうか。 まず考えられるのが、乗り放題・定額制により移動需要が増えることです。 エストニアでは、公共交通をパッケージして交通料金無料化を行い、コロナで沈んだ経済・消費を活性化させようという取り組みが行われました。 これは日本の Go To トラベルと同じですね。
続く Beyond MaaS の具体例は MaaS と異業種を組み合わせて新しい価値を生んでいる事例です。 ここで紹介するのは 不動産 × MaaS の組み合わせです。
サンフランシスコに建てられた「パークマーセド」というマンションでは、市街電車に乗りやすく Uber も捕まえやすい立地を活かし、自家用車を持たない世帯に毎月 100 ドルを補助する特典をつけ、積極的に受け入れています。 背景にはサンフランシスコが抱える慢性的な交通渋滞の緩和・解消と駐車場の不足があります。
Smart City で MaaS は当たり前になり、 MaaS という言葉が無くなる
CES 2018 でトヨタ自動車は「モビリティ・カンパニー」へ移行すると発表し、 “移動を助ける” ことをミッションとして再定義しました。 この頃から海外の自動車産業を中心に MaaS だけでなく都市デザイン、スマートシティの提唱まで広がりました。 日本国内でも同じくトヨタ自動車が CES 2020 で東富士で「未来の実証都市」として実験を開始すると基調講演で発表し、私もワクワクしたことを覚えています。
自動車産業だけでなく、ゼロカーボンを意識した取り組みとして、サウジアラビアの NEON という会社が THE LINE というスマートシティを提唱しています。循環型社会とはどういうものかイメージできます。 MaaS という言葉は登場しませんが、新しいモビリティも描かれています。
Smart City のような未来では MaaS が当たり前であり、もう言葉として登場しないほど、日常に溶け込んだものになるのです。
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MaaS は Mobilty as a Service の略で、バラバラのサービスを一体としてみなすクラウドの 〇〇 as a Service のモビリティ版だと考えるとわかりやすいでしょう。 鉄道やバス、タクシーのような交通機関もあれば自家用車もあるモビリティを、ユーザもしくは都市から見て一つのサービスとみなす、という概念です。
具体例として一番わかりやすいのが、フィンランドで公開された Whim という MaaS アプリです。 カーシェアも含めたあらゆる交通手段を使った経路検索や、公共交通やタクシー / カーシェアが乗り放題となる定額制の料金体系を可能にし、自家用車からの転換を狙ったものでした。
MaaS アプリには他に SoMo という SNS のように相乗りできることを狙ったアプリもあります。 結婚式、 PTA の会合など目的地を共有する知人同士で相乗りできたり、サッカー大会などイベントをアプリ内で作り、交通手段もシェアするようなことができます。 他にも環境に優しい移動手段を使うと特典がつく Miles というアプリもあります。