農業DX のすすめ ~農業のミライを切り拓くために~|SEカレッジ ITフェスティバル2023 開催レポート
2 日間にわたり 9 つのテーマでセッションが行われた 「 SE カレッジ IT フェスティバル 2023 」 から今回は 「農業」 をテーマとした 「農業 DX のすすめ ~農業のミライを切り拓くために~」をレポートします。
「あと 17 年で農業従事者はいなくなります」
これはこのセッションで話された言葉ですが、その言葉の通り、農業従事者の減少に歯止めがかかりません。 「スマート農業」はまさしく農業のミライを背負っています。
このセッションでは、そのスマート農業をリードする 渡邊 智之 さんをお招きし、どうすると農業を守れるのか、お話を伺いました! そこにはスマート農業を支える「スマート消費者」という観点もあったのです。
ぜひご覧ください!
渡邊 智之
一般社団法人日本農業情報システム協会 代表理事
スマートアグリコンサルタンツ合同会社 代表 / CEO
特定非営利活動法人ブロ-ドバンド・アソシエション 事務局次長
そのほか、慶應義塾大学 SFC 研究所の研究員や、農林水産省や自治体のスマート農業に関する会議の有識者、座長としても参加。 著書に「スマート農業のすすめ ~次世代農業人【スマートファーマー】の心得~」(産業開発機構株式会社)がある。
もくじ
高齢化、農業者の減少 ― スマート農業、農業 DX が求められる背景とは
―― まず、今回のテーマである「スマート農業」という言葉から解説をお願いしてもよいでしょうか
―― スマート農業の具体例としては、どのようなものがあるのでしょうか?
―― この中で渡邊さんが注目しているものはございますか?
水門は、今でも人が毎日、水門の開閉をしています。 農地を 100 ヵ所持っている農家だと、それだけで一日が終わってしまいます。 しかも、朝一番に行った水門と最後に行った水門ではタイムラグが生じ、お米の品質にも影響します。 それが IoT 水門を使うと、朝の水止めや深夜の水入れをタイマーで設定できたりし、水センサーとの連携から水量によってスマートフォンで遠隔から水門の開閉もできます。
これによって、工数も減り、お米も同品質なものができると、メリットがたくさんあります。
―― こういった農業のスマート化を進める背景にはどんな事情があるのでしょうか?
このため、今いる人たちで、少しでも多くの田んぼや畑を守るには、ロボットや IT に頼らざるを得なくなったのが現状です。
―― なるほど。 新しく始める方や継ぐ方もいると思うのですが、なぜ一年間で 10 万人も減ってしまうのでしょうか?
ただ、これからの時代はうまくやれば、農業者でも十分儲かるストーリーが描けると思っています。 従来の 3 K を新しい「 3 K 稼げて、かっこよくて、感動がある」に変えたいのです。
スマート化の取り組みの現状
―― 渡邊さんは、農林水産省でもご活躍されています。 政府のスマート農業の今のビジョンはどのようなものなのでしょうか?
スマート農業というと、自動で走る農機などをイメージされるかもしれません。 確かに自動化も重要ですが、それよりも大事なのは、ノウハウの継承、つまり農業の匠の方々の頭の中をデータ化することなのです。 さらにデータを一ヵ所に集めれば、例えば、ミカンの標準的な作り方がわかり、 80 点のミカンを作るといったことができます。 そうすると初めて農業をする人でもそれなりの収入が得られるでしょう。
現在はこういったことを目指しています。
―― 実際に、今日本ではどれくらい農業のスマート化が進んでいるのでしょうか?
―― その方々の年齢層はやはり若い層なのでしょうか?
また、いつかは子どもに継がせたい 50 ~ 60 代の親世代もいらっしゃいます。 この世代は代々、背中を見て覚えろと言われてきたものの、それでは継いでもらえないという危機感があります。 だから、自分の農業のノウハウを明文化して、数値化することで、子どもたちがすぐに農業を始められるように、今から準備しておこうと考えているわけです。 また親世代は、もともと IT に対してそんなに抵抗感のない世代でもあるのですね。
創意工夫がお金にならないという難しさ
―― 一方で、スマート農業を進める上での障壁となっていることはございますか?
―― 例えば、美味しいトマトがあっても、 そこそこのトマトと同じ値段でしか買ってもらえない状況なのですか?
超高糖度のトマトなど創意工夫している農家の場合、農協分とは別に、地域の直売所で売ったり、市場を通さず自分で EC サイトを立ち上げ直売したりといったことをしないと、差別化できないのですね。
―― 例えばスマート農業ならではの価値を持ったブランドを作れば、高い値段で売れるかもしれないですね
そうではなく、 IT によって品質が数値化されて、「この魚沼産コシヒカリはこの数値が高いから、味が良くて価格が高い」といった価値の根拠を数値化できると、同じ数値のお米が同じ値段で売れるようになります。 数値で表現し、ランクがつけるようなブランド化が必要です。
スマート農業の落とし穴 - よきスマートファーマーとはよき経営者である
―― 農業のスマート化で注意することはありますか?
継続的な運用を意識した上で始めることが、まず一番の注意事項です。
―― もう一つの観点で、いわゆる「スマートファーマー」になれる方と、なれない方の違いはどこにあるとお考えでしょうか?
スマートな消費者になろう
―― 最後にまとめとして、私たち日本の消費者に対するメッセージがあればいただけますか。
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