講師インタビュー 三好 康之 「好きな仕事を、好きな相手とだけする人生を資格がつくる」

研修で「何を学ぶのか」も重要ですが、 「誰から学ぶのか」も重視される時代。SEプラスの研修で登壇する講師がどんなことを思いながらコースを実施しているのか、講師にインタビューしています。
今回は SE カレッジや KOUDO で資格対策だけでなく、プロジェクトマネジメント、ヒューマンスキルなど幅広い分野で登壇され、いずれの分野でも高い受講満足度を誇る 三好 康之 さんです!
三好さんというと、情報処理試験の全区分合格など数多くの資格ホルダーであり、過去には発行部数が受験者数を超える異例の現象を巻き起こした「情報処理教科書プロジェクトマネージャ」(翔泳社 刊)など多くの人気著書を執筆されています。 その実績から華々しいキャリアを想像しがちですが、インタビューしてみるとそれは「偶然」と「思いつき」とのこと。
その「偶然」と「思いつき」の連続だった、これまでのキャリアと、それを支える資格の効力を伺いました。 自分らしい働き方をしたい方は必見です !!

株式会社エムズネット代表
大阪を主要拠点に活動するIT コンサルタント。本業のかたわら、大手 SI 企業の SE に対して、資格取得講座や階層教育を担当している。高度区分において脅威の合格率を誇る。保有資格は、情報処理技術者試験全区分(累計 36 区分、内高度系 26 個)をはじめ、IT コーディネータ、中小企業診断士、技術士(経営工学)、販売士 1 級 など多数。著書には「情報処理教科書プロジェクトマネージャ」「情報処理教科書データベーススペシャリスト」(いずれも翔泳社 刊)など多数。 著書の一つ「 IT エンジニアのための【業務知識】がわかる本」で「 IT エンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞 2015 」で技術書部門ベスト 3 入賞
インタビュアー: SEプラス 寺井 彩香
偶然と思いつきでもうまくいく
―― 三好さんは SE カレッジ や KOUDO など研修での登壇に加え、書籍の執筆、 IT コンサルティングにご自身のブログでの発信と、マルチタスクで成果を出されているのですが、どんなキャリアを積むと、そんなことができるのでしょうか?
―― 偶然と思いつきですか?
大学に進学したのは “思いつき” で、高校卒業で仕事すると決めていたところ、最後の夏に所属していたハンドボール部が負けてしまい、大学でもハンドボールを続けるぞ、と思いついたのがきっかけです。
就職は “偶然” で、アルバイトに来ていたビルで、たまたま合同説明会が開催されていて、アルバイトの合間に参加して、最初のブースに座った会社に決まりました。
―― それで決まるのがすごいですね
就職したのが平成元年で、当時は超売り手市場でしたから。
―― IT に出会ったのも、偶然だったのですか?
ええ、その合同説明会で最初に座ったブースの会社がソフトウェア開発企業だったので。
ちなみに 2001 年に独立したときも、 2000 年末にイチロー選手がメジャーへの移籍を発表したのをみて、「そうか 100 年に一度のタイミングだからか!」と独りよがりに思いついてしまって、次の日に会社に辞めることを伝えました。
―― 重大なライフイベントを、本当に思いつきと偶然で決めてこられたのですね!
さらに言うと、講師になったのも、本を執筆するようになったのも、偶然です。
―― その 2 つもですか?
たまたま参加した会合で、研修会社の担当者と 1 回だけ名刺交換をしたことがあったのですね。 そのときは何も話は無かったのですが、そのあと 4 月にその担当者から名刺に載せていた資格をみて「新人研修で急遽、穴が開いてしまったので、登壇できませんか?」と声をかけられたのが、講師になったきっかけです。
―― 偶然、研修会社の担当者と出会って、たまたま講師のアサインが難しい 4 月に欠員がでたとは、偶然が重なってますね! その講師の初仕事はいかがだったのでしょうか?
「研修内容は自由にやらせてほしい」という条件で引き受けたので、新人の方に話したいことを話していると、受講者との相性もよかったのか喜んでくれて、思いのほか、楽しかったですね。 後日聞くと、評判もよかったです。
―― 初登壇でそんな評価を得られるとは! では、本の執筆にはどんな偶然があったのですか?
2002 年に翔泳社から新しく「 NEXT ENGINEER 」( 2003 年に休刊)という雑誌が発刊され、スキルアップがテーマだったので、好きで読んでいたのですね。 その中に資格の記事があり、読者をミスリードしてしまう内容が書かれていました。
そこで間違いを指摘して、「私が書きましょうか?」と冗談でメールで伝えたところ、たまたま、その記事は著者がアサインできず、編集長が書いた記事だったようで、渡りに船とばかりに執筆を依頼され、連載がスタートしました。
もともと仕事にこだわりがなく、今でも、どんな仕事でも楽しみながら従事する自信がありますからね。 好きな人たちと一緒なら。 逆に、今の仕事でも周囲に嫌な人が多ければ、いつでもすぐに辞めようと思っているので、成り行きに任せることができるわけです。
資格が武器になる
―― 講師と本の執筆、どちらもはじめられたきっかけに、「資格」が効いていますね。 資格というと、三好さんは情報処理技術者試験で全区分に合格されるなど、沢山の資格を取得されています。 資格を取得するようになったきっかけを伺えますか?
もともと「束縛されずに自由に仕事をしたい」「好きな人とだけ仕事がしたい」と思って就職したのですが、入社 2 年目に入ったプロジェクトで起こった、ある出来事で、資格はこの 2 つを満たすための武器になると気づいたのですね。
―― どんな出来事だったのですか?
そのプロジェクトに、「システム監査技術者」の資格者がくることになり、それまで自信満々に振る舞っていた部長や先輩が、「これはどうなっている?」「あれは?」と急に心配顔をしてアタフタするようになりました。
それをみて、資格だけでこれだけ人の心理や行動に影響を与えられるものなのか、と気づいたのです。
それから資格を取得するようになり、入社 3 年目で当時、会社で 26 人しかいなかった「特種」info に合格できました。
info 特種情報処理技術者のこと。 現在の高度情報処理技術者試験の 4 つの論文区分プロジェクトマネージャ、 IT ストラテジスト、 IT アーキテクト、 IT サービスマネージャをまとめた資格。 当時、合格率は 4 % 程度と非常に難しい試験だった。
―― すごい! 周りの反響はいかがでしたか?
取得してみると、最初は「お前は勉強ばっかりできていいな」とか妬みや冷たい態度をとる先輩が多かったものの、しばらくすると、先輩も認めて、意見を聞いてくるようになりました。
これなら 2 つのこだわり、「束縛されずに自由に仕事をしたい」「好きな人とだけ仕事がしたい」が実現できると思い、全部取得することを目指しました。

好きな人とだけ仕事をする方法
―― 全区分合格で「束縛されずに自由に仕事をしたい」「好きな人とだけ仕事がしたい」の 2 つを実現できたのでしょうか?
全区分の合格と、ある方法を実践して実現できましたよ。
―― ある方法 … ですか? どんな方法か伺ってもよいでしょうか
それは 「自分の働き方としたいことを、先にさらけ出す」 ことです。 先にそれを見せておくと、嫌だなと思う人は、自然と私を避けるでしょう。 もちろん、それで生意気だとか嫌だなと思う人も多いと思います。 実際、私のことを大嫌いな人は多いですよ。
―― そんな働き方を見せて、仕事があるものなのでしょうか?
―― 本当だ、書いてらっしゃいますね! しかも副業がコンサルティング事業、研修事業、執筆になってますね(笑)
先日、私に仕事を依頼された方は「 IT エンジニアのための【業務知識】がわかる本 第 5 版 」を見て連絡されたのですが、依頼後、ホームページのことを聞いてみたところ、
「冗談だと思いました(笑)。 ただ、本気だったとしても、経歴や書籍の内容が信頼に値するものなので依頼しました」
との回答でした。
―― 「本業: 乃木坂 46 のファン」と書いていても仕事を依頼されるのですね(笑)
そう、それでも依頼されるのですから、仕事相手を好きになりますよ(笑)。 全力で応えたくなります。 そうすると、いいサイクルが回るようになります。
―― どのようなサイクルなのでしょうか?
恋愛と同じです。 恋愛していると、好きな人のことをずっと考えて、その人が喜びそうなことをやるようになりますし、できるように努力しますよね。 それと同じで仕事相手が好きな人なら、どうやったら役に立てるか、と考えるようになります。 そうすると知識をもっと増やそう、スキルをもっと磨こうと思うようになります。
―― 確かに!
研修のときも四六時中、受講者の役に立てるものは何か、考えています。 例えば、資格対策なら短時間で合格できるような試験テクニックを研究しますし、そのために情報処理技術者試験も全区分合格後も受験し続けています。 その度に「こう書くと、どうなるか?」「この表現なら OK か?」など記述や論述式の解答を実験しています。
―― 三好さんの研修資料や書籍は、同じタイトルでも毎回変わっていますものね。 それは「好きな人のために」という考え方が背景にあったのですね
好きな人とだけ仕事をすると、ストレスを全く感じないというメリットも生まれます。 ストレスはイヤイヤだったり、やりたくないと思っているのに話をしたり、行動したりするときに発生するものですから、この働き方をしていると、ストレスの要因がなくなります。
講師は、人の時間を奪って苦行を強いる仕事
―― 三好さんが人気講師である理由がわかりますね。 その研修をする上で、三好さんがこだわっていることはどんなことでしょうか?
端的にいうと、講師は受講者に「勉強しなさい」ということを伝える仕事なのですね。
ただ受講者にとって勉強は面白くないし、さらに研修に参加すると趣味に費やしたり家族と過ごすような時間を使うことになります。 つまり 「講師は、人の時間を奪って苦行を強いている」 のですね。
―― 確かに … 言われてみるとそうですね
そうすると、いかに短時間で勉強を終わらせるのかが講師の視点になります。 突き詰めると、講師の言葉や文章は、歌詞や詩のように 一言でわかった、というレベル に達しないとダメなのです。
話術など講師としての私のスキルは人並みですけど、誰にも負けないのは、四六時中、その一言を考えているところです。
―― なるほど!! ちょっと感動してしまいました。 だから受講満足度も非常に高く、また難関の高度情報処理技術者試験(高度試験)対策の合格率が高いのですね!
ただ高度試験になると、いま KOUDO で行っている 7 時間 × 4 日の研修時間でも合格できません。 合格するには研修以外で受講者本人がどれだけ勉強できるか、ということにもかかってきます。
―― 研修で解答テクニックや勉強方法は教えられても、それとは別に実際に過去問題の演習や論文を書く練習が必要になりますものね
ですから、受講者に勉強に取り組んでもらえるように “投資効果” について 2 つのことを伝えています。 まず 1 つ目の効果は今日話したような、資格を取得するとどうなるのか、というお話。 そして 2 つ目は投資としての勉強時間を最小限に抑えるためのコツです。
―― このインタビューも資格取得の効果を知ってもらう一環ということですね。 しっかりこの記事を受講者の皆様にご案内したいと思います。 では、最後に受講者へのメッセージをお願いします!
人生 100 年の時代になり、何にどれだけの時間を使うか、一度考えてみるのがおすすめです。 もっと自分のやりたいことに時間を使いたいとお考えになるなら、自助努力が必要です。 そのときは「資格」を使ってください。 勉強しやすく、身につけると武器になります。 楽しい人生になると思います。


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振り返ると、 “偶然” と “思いつき” で生きてきたので、 … キャリアというとちょっと面映ゆい気がします(笑)。