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その DX 化は本当に正しいのか? ~ DX に本気で挑戦するための思考法とは|SEカレッジ ウェビナーレポート

calendar_month2022-09-15 公開

本日のテーマは、「その DX 化は本当に正しいのか?」です。

2018 年に経済産業省が公開した「 2025 年の崖」レポート( DX レポート)から 4 年が経過しましたが、昨年発表された DX 白書 2021 ではアメリカとまだまだ大きな差があることが発表されました。

そこで今回のウェビナーでは、数多くの企業や自治体のデジタル化を手掛けてこられ、書籍「 DX CX SX 」を執筆された 八子 知礼 さんに DX を正しく進める方法を伺いました!

パネリスト紹介

八子 知礼

株式会社 INDUSTRIAL-X 代表取締役 CEO

1997 年松下電工(現パナソニック)入社、商品企画開発に従事。 その後介護系新規ビジネス(現 NAIS エイジフリー)に社内移籍、製造業の上流から下流までを一通り経験。その後、アーサーアンダーセンを経て、デロイトトーマツコンサルティングに入社。 2010 年に同社執行役員パートナーに就任。 2014 年シスコシステムズに移籍。 テック業界中心のビジネスコンサルタントとして活躍。 現在は 2019 年に創業した INDUSTRIAL-X で代表取締役を務める。
著書に「 DX CX SX 」( クロスメディア・パブリッシング (インプレス) 刊)、「現場の活用事例でわかる IoT システム開発テクニック」(共著 日経 BP 社刊)などがあり、 Forbes Japan 、 JDIR などメディア掲載も多数

DX の段階と「 DX で何をするか」問題を解決するデジタルツイン

―― はじめに、そもそも DX とは何かという前提を伺えますか?

DX というと、どうしても IT を導入すると誤りがちですが、デジタル化を指すものではありません。 本来的にはデジタルによってどんな姿になるのか、ということが何より重要で、デジタルを通じて業務や会社が大きく変わることを指しています。

―― つまり、著書にもあった部分最適と全体最適 IT 化との違いということでしょうか?

段階をもって話すと、昔は「特定業務の IT 化」が進められました。 これが部分最適で Digitization と呼ばれる段階です。 次に 2010 年頃から始まったのが ERP などによる「全体の IT 化」です。 これが Digitalization と呼ばれる段階です。

そして現在 起こっているのが Digital Transformation の段階、つまり「ビジネスモデルの変革」です。 ただし、この新しい姿を定義できてないことが多いのです。

デジタルツイン ― DX を進めるための枠組み

―― しかし、新しい姿を自社で定義する、ということは自己変革なので、なかなか難しいですね。 なにかうまく進める方法はあるのでしょうか?

新しい姿を考えるには デジタルツイン と呼ばれる枠組みを使うと考えやすくなります。 リアルとデジタルを双子のようにつなぐ、という考え方で、予測が難しい現実空間を、デジタル空間上にデータとして持ってくることでシミュレーション可能にする、という考え方です。

例えば、 IoT によって現場の現実空間をデータ化し、リアルタイム通信でそのデータを取得することで、デジタル空間で再現でき、条件を変えて、先々どんなことが起こるのか、何千通りのシミュレーションができるようになりました。

―― ということは、とにかくデジタル化して、データを溜めるということでしょうか?

IoT に取り組む企業が少なかった時代は、とにかくデータを取ることが主眼でした。 ただ、今はグローバルでは闇雲にデータを取得しても維持コストがかかることがわかってきたので、どんなデータを見たいのか、使いたいのかを先に決めて、データを溜めることが増えています。

そこでデータを取得 → 分析して、パターンが見つかってくれば、そのパターンを自動化して、新しいビジネス・業務が生まれます。

トランスフォーメーションするには、まず自社のデジタル化 → デジタル活用から進めよう

―― なるほど、ありがとうございます。 次は、具体的な成功事例から DX の正しい進め方を探りたいと思います。 八子さんが携わられた DX 事例を伺えますか?

こちらは 3 年前から私が参画している、高知県の IoP クラウド( Internet of Plants: インターネット・オブ・プランツ)植物のインターネットと呼んでいる一大プロジェクトです。


ビニールハウスの温度、湿度、水分量、土中水分量、土中窒素濃度、日照の 6 つのパラメータを 1 分ごとに計測収集して、収穫量の予測ができ、現在、主要 7 品目に対応し 90 パーセント以上の予測精度が出ています。

このデータを活用して、高知県では最も廃棄が少なく、最もマーケットでの価格が高いタイミングで出荷ができています。

現在、県下の 2000 戸の農家にご協力いただき、最終的には 6000 戸の農家まで拡大する予定で、この秋には IoP クラウドを推進する機構によって商用化され、県外の方々への外販が予定されています。

―― 素晴らしい成果ですね! ここまでくるのに大変なこともあったと思うのですが、どのようなことがあったのでしょうか?

一番大変だったのは、農家の方々が「自分のデータが他の人にも見えてしまうのでは?」という不安に思っていたことですね。

―― 確かに農家の方々のデータ提供の協力がないと進められないですものね。 どのように解決されたのですか?

農家の方々に一軒一軒、丁寧に「統計処理されているだけで実データは出ません。 大丈夫です」とお伝えした上で、県知事と直接契約しているほか、将来的なビジネスの成果も還元することも約束しました。 特に高知県の営農指導員 が非常に熱心に説得にあたっていただいたのが大きかったですね。

営農指導員とは: 農家に対して技術指導や経営支援などを行う。 IoP クラウドでは高知県の農業推進課の職員があたった

―― なるほど、農家に近い方をイノベータとして巻き込めたのはとても素晴らしいですね。 今回のように外販まで進めるのが DX のシナリオになるのでしょうか?

ロードマップとして説明するのがわかりやすいのですが、 IoP クラウドのように

  1. デジタル化
  2. デジタル活用
  3. ここまでの仕組みを外販(トランスフォーメーション)

と進む企業が増えてきました。 この最後の段階では、非 IT 事業者が外販化することも増え、まさしくトランスフォーメーションしています。


―― DX の進め方のよいモデルですね。 ありがとうございます! 一方で、今度は DX の誤った進め方、ありがちな失敗はございますか?

初めは設備など物理的なものがボトルネックになることが多いですね。 例えば IoT で工場の可視化しようとすると、工場設備やネットワークインフラが古すぎて導入できないといったような話はよくあります。

この問題を解消しようとすると、今度は人的な課題がボトルネックになります。 設備機器は専門家じゃないと出来ないと。

では、専門家に言ってデジタル化しようとすると、今度はデジタルが制約になって、デジタルがわからず進まないという話になります。

デジタル、フィジカル(設備)、人 … この 3 つの要素は、お互いに共依存、相互依存の関係があって、我々はこれを DX ・魔のデッドロックと呼んでいます。 この中でも人の問題、 DX を推進する人がいないことが大きいことがわかっています。

―― この解決策はどうするとよいでしょうか。 内部には DX のノウハウを持つ人がおらず、外部から連れてくるのも親和性の問題でなかなか難しいといった話をよく聞きます

DX 推進部署の有無で、成果に大きな開きが出ます


DX で自社にどのようなインパクトを及ぼすのか、中期的な取り組みまで理解している旗振り役が必要で、内部人材の育成と、外部人材の登用、あるいは外部アドバイザーでもいいので内外両方のバランスをとって設置するのがよいと思います。

―― それほど差がでるのですね。 ありがとうございます! では、最後に DX を進める上でアドバイスをお願いします!

デジタルツインの姿を見せるというのが非常に重要なポイントなので、 DX に取り組む意義、そして会社のあるべき姿を示していただくことが重要です。

まとめ

DX の正しい進め方をテーマに、多くの DX プロジェクトに携わる 八子 知礼 さんに高知県の農業 DX 「 IoP クラウド」の事例を交え、解説いただきました。

DX というと何をするのか、誰がするのか、不明瞭になりがちで止まってしまうケースが多いのですが、 DX までに到達するには段階があること、自社内でデジタル化 → デジタル活用を進めた先に DX があること、筋道を立てた DX の進め方がわかりました!

まずは自分が行っている業務をデジタル化するとどうなるのか、ライターの仕事であれば、講演の音声データをテキスト化、テキストから要約 or GPT-3 で生成できるか、これでレポートになるのか試してみたいと思います(仕事が無くなる?)。

 

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