講師インタビュー 宮崎 克也「インターネットの登場で人生が変わった。とんがった技術を教えたい」
研修で「何を学ぶのか」も重要ですが、 「誰から学ぶのか」も重視される時代。SEプラスの研修で登壇する講師がどんなことを思いながらコースを実施しているのか、講師にインタビューしています。
今回は PLUS DOJO や SE カレッジの講師としても登壇される 宮崎 克也 さんです!
“ゆったり” “まったり” としたお人柄から「しっかり聞いてもらえる」「やさしい」と評判ですが、それからは覗い知れない、テクノロジへの情熱とこだわりがインタビューでわかりました。ぜひご覧ください !!
携帯電話や政府系金融機関の関連企業でシステムエンジニア・システムコンサルタントを経験。独立後、 IT コンサルティングの傍ら、セミナー講師としても活躍。
豊富な講師経験をもとに、 IT 知識ゼロの新入社員からベテランまで、研修中の疑問を探り出し、解決に導く懇切丁寧なレクチャーで人気。
最近は昔、趣味だったサイクリングで訪れたダムを再訪して、ダムカードを収集することにハマり始めた。
インタビュアー: SEプラス 寺井 彩香
インターネットの登場でこれからの人生が決まった
―― 宮崎さんはテクノロジの幅の広さだけでなく、レベルの高低どちらも教えられて、とにかく守備範囲が広いのですが、やっぱり子どもの頃から技術大好きだったからそうなったのでしょうか?
それが大学に入ってスグの 1999 年に ADSL が一気に普及し、インターネットにハマるようになって、それで「これをやりたい!」と決まったんです。
それからプログラミングして便利ツールを作るようになったり、テクノロジで何かをすることが趣味になりました。
―― それほどインターネットに魅力を感じたんですね。 それで就職して IT 業界に入られたのですね?
いえ、それがちょっと特殊でして … 。 学部卒業後は情報工学系の大学院に行きながら、実は仕事をしていたんです。
大学院では研究の進め方は学生に委ねられていたので、昼に働いて、夜に研究するという生活をしていて、そのまま就職しました。
―― 学生でそんな仕事ができるのですね! どんな仕事をされていたのですか?
いわゆるプログラミングなどの IT の仕事ではなくて、携帯電話の電波の強さなどを調査・測定して、問題があればその改善提案を含めた報告書まで書くものでした。 最近は IT ではなく ICT ( Information and Communication Technology )という言葉をよく耳にしますが、 ICT の中でいうと「 C: Communication 」、つまり「通信」の方の技術者ですね。 一般にはなかなか知られていないものでしたが、とても面白かったですね。
―― そんな仕事があるとは知りませんでした。 そうするとプログラミングからは遠ざかったのでしょうか?
いえ、その仕事をやっている間も、ずっと変わらずプログラミングやテクノロジを使って、仕事に役立つものを作って実際に使ってみるということをやっていました。プライベートでもそれは同じで、趣味でやっていました。
その後、その企業を退職してからは仕事でも本格的にプログラミングをするようになりました。
時代を先取り! 10 年前にプログラミングの家庭教師
―― 開発やコンサルティングでキャリアを積まれているところから講師をするようになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
今でこそ普通になりましたが、実は仕事とは別に 2009 年ぐらいにプログラミングの家庭教師をしていました。
―― プログラミング教育が普及した今なら分かりますが、 10 年以上も前にプログラミングの家庭教師とは驚きです。
学生時代に登録していた家庭教師センターから「プログラミングを教えて欲しいと依頼があったので … 」と相談されて、当時はかなり珍しかったので面白そうだと思って引き受けました。
―― 宮崎さん、ゆっくりとしたキャラクターのように見えて、とっても好奇心旺盛ですね。
教えられた方は受験生 … ではないですよね?
そうですね、大学生や社会人、 60 代のリタイアされた方など年齢も様々に教えました。
―― 大学生にも需要があったのですか?
理系を専攻すると、なかなか単位取得や卒業が難しいので、家庭教師に来てもらいたいというニーズがあったようです。 そこで私はプログラミングだけではなく情報工学も教えていました。
―― マンツーマンでの受講者のフォローも評価が高いのはそういった背景があったのですね!
それで教えることには抵抗が無くなったところに、知り合いに紹介された仕事の中に研修講師があって、それで講師をするようになりました。
―― 講師の仕事はいかがでしたか?
新人研修で Java や C 言語などプログラミングを教えることになり、多人数を前に講義した経験はありませんでしたが、教えることには変わらないので、手応えはよかったですね。 受講者の疑問や詰まったことを一緒に解決するのは家庭教師と変わらないですし。
―― 講師業も順調満帆に進められたのですね
そうでもなく、講師を始めて何年かたった後、 100 人ぐらいを対象にして講義することがあって、そこで大失敗をしてしまいました。
―― どんな失敗だったのですか?
ご担当の方からの要請もあって仕事や現場の厳しさを教えなければと思い、厳しく当たりすぎてしまったんです。 それで一番重要な受講者との信頼が失われてしまい、受講者がその研修で何か学ぼうとする意欲を奪ってしまいました。
―― 宮崎さんは何でも聞いてくれて、やさしいと新人研修の受講者に評判ですので、今では考えられないですね
その失敗があって、傾聴など信頼してもらう色々なアプローチを心がけるようになったので、そう評価されるとうれしいですね。
―― その新人研修では、どんなところに講師としての面白さを感じているのでしょうか?
問題を一緒に解説するところや、色々な受講者に会えるのが楽しいですね。
よく xxxx 世代とかひと括りにしますが、そんなことは信じられないほど、皆さん個性的なので、教える側もその考え方や勉強方法など様々な刺激を受けます。 また所属されている企業のカラーもちょっとずつ出るところも面白いところです。
エッジな技術を教える講師になりたい
―― もう一つ新人研修で伺いたいのが、講師としてこだわっていることを伺えますか?
答えを出しすぎないことです。 講師や受講者が思っている以上に、自身で考えて解決できることは多いんですね。
私は問題解決力を磨くのが IT エンジニアの本分だと思うので、出来るだけそれを伸ばせるようにサポートしたいと思っています。
―― 問題解決力を磨くには解決方法、つまりテクノロジを知ることが大事だと思うのですが、宮崎さんの場合はどのようにしているのですか?
私の場合は学生時代から趣味でテクノロジを楽しんでいると、自分なりに流行を読んで先行してやってみて、読み通りになったり、読みを外したり、そんなことも楽しんでいるうちに自然と、といった感じですね。
―― ちなみに今、取り組んでいるものは何ですか?
今は AI を使って画像認識をするハードルがとても下がっていて、それで顔認証やモーションキャプチャ関係のソフトウェアを作っています。 スポーツなどの運動を動画撮影したものを 1 フレームごとに解析して、正しいフォームと見比べて提案できるもので、作っていてとても楽しいですね。
―― そのレベルを個人で出来るようになったのですね! テクノロジの進化に驚きです。
では、最後に講師として目指していることを伺えますか?
今は新人研修での登壇が多いのですが、限られた期間ですから、教える技術の幅はそれほど広くなりません。
最初に仕事(携帯電話の電波調査)で使っていたテクノロジは知られていないものでしたが、とても楽しかったですし、世の中には必要なものでした。 そんなあまり普及していないマイナーなテクノロジや、まだどうなるかわからないエッジなテクノロジも自分が伝えて普及できると面白いですね。
―― 普段の “ゆっくり” “まったり” としたキャラクターからは想像できないほど、テクノロジへのこだわりが強いのですね。今日はありがとうございました!
ありがとうございました。
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子どもの頃は電子手帳などガジェットが大好きでしたが、それほど IT をやりたいという訳ではありませんでした。 ちなみに当時の電子手帳はスマホと同じような感覚のもので、ゲームもできるようなものでした。
そのまま成長して、大学や学部を決めるときになっても特に何がしたい、というのもありませんでした。