講師インタビュー Gene「ネットワークの楽しさを伝えたい」
研修で「何を学ぶのか」も重要ですが、 「誰から学ぶのか」も重視される時代。SEプラスの研修で登壇する講師がどんなことを思いながらコースを実施しているのか、講師にインタビューしています。
今回はネットワークの分野で数多く登壇する Gene さんです!
ネットワークが学べる人気サイト「ネットワークのおべんきょしませんか?」の誕生秘話やペンネームの由来、ネットワークの楽しさなどをインタビューしました。ぜひ御覧ください !!
自身の学習体験で生まれた「?」から「ネットワーク技術をわかりやすく解説する」
ネットワークの学習サイト「ネットワークのおべんきょしませんか?」を開設して 20 年以上。著書も 40 冊以上。 SF 小説が好きで最近は「三体 Ⅰ / Ⅱ / Ⅲ」(劉 慈欣 著 早川書房刊) を愛読。コロナ禍でドラクエウォークにハマり、 1 日 1 万歩を歩き、 7 Kg の減量に成功。
インタビュアー: SEプラス 寺井 彩香
SE からネットワークを教える講師に
―― まずは講師になられたきっかけを伺えますか?
そこで転職を考えるようになり、転職エージェントから紹介された転職先候補の中に IT を教える講師職がありました。そのときに、子どもの頃から誰かに勉強を教えていることが多く、学生時代も家庭教師や塾講師で教える仕事が好きだったことを思い出し、講師に転職しました。
―― テストとデバッグということは Gene さんの得意な “ネットワーク” は触れていなかったのですか?
はい、講師に転職したあとに、ネットワークを教えることになりました。
気軽に始めた「ネットワークのおべんきょしませんか?」のサイトが人気に!それが本の執筆に繋がる
―― 講師も初めて、ネットワークも初めて、という状況で、スタートはいかがだったのでしょうか?
まずはネットワークの勉強からはじめました。当時は、ちょうどインターネットがどんどん普及している時期で、勉強した技術やプロトコルがそのままインターネットで使われていて、イメージしやすく面白く感じました。
また、当時ホームページを開くことも手軽になっていたので、「とりあえずやってみよう」と思い立って、仕事の帰りにホームページビルダーを買って、学んだことのアウトプットとして Web サイトでネットワークの解説を書き始めました。
―― それでネットワークを学べる人気サイト「ネットワークのおべんきょしませんか?」が始まったんですね。 2000 年から今までで、どれぐらいの記事を書かれたんですか?
サイトの記事数は 600 本ぐらいで、整理できてないないものをカウントすると 1000 本以上はあると思います。
―― ナント!大変な本数ですね
ネットワークの解説記事を書き始めて 1 年ぐらい経ったときに、秀和システムの編集者の目に止まり、初めて本を執筆することになりました。
―― そういった縁で執筆されるようになったとは、アウトプットしていると、そういったことも起こるのですね。
Gene さんはサイトだけでなく本もたくさん書かれていますが、これまでに何冊ぐらい書かれているのでしょうか?
40 ~ 50 冊程度、書いています。
―― これもまた大変な冊数ですね。ちなみに … ですが、ペンネームの Gene はどういう由来があってつけられたのでしょうか?
たまたま遺伝子工学の記事を見ていたときに、「遺伝子 (gene) が情報を伝える役割を担っている」ということが書かれていてのが気に入って、それにちなんで Gene にしました。
―― なるほど! サイト、著書、講師、すべてで情報を伝えられているので、ピッタリですね!
ネットワークの楽しさを伝えたい
―― ご自身でネットワークを学んでいて、難しいと思ったことはどんなところでしたか?
ネットワークの勉強に限りませんが、新しいことを学ぶときにはその分野の用語やいろんな要素の関連が分かりづらいことです。特に IT 技術の用語は、同じことを表す異なる用語があったり、同じ用語でも意味がまったく違うことがあることが難しく感じる理由だと思います。
―― なるほど、確かに! 例えば router とパッと言われてもネットワークのことなのか、 Web アプリケーションのことなのか、わかりませんものね。
では、逆にネットワークが楽しいと思うところはどんなところでしょうか?
検証のためにいろいろネットワーク構成を考えて、それが想定通りに動作したときは特に楽しいと感じます。また、障害が起こったときに原因を切り分けて解決できると達成感があります。
―― そのネットワークを教える上で、こだわってらっしゃる点はどのようなことがありますか?
全体像を掴んでもらえるように心がけています。ネットワークに限らないかも知れませんが、いろいろな要素が関連しあっているので、個別技術だけを見ていると、なぜこの技術があるのか、その目的と役割がわかりづらくなります。そのため、俯瞰した視点から全体像を掴むことが一番よいと考えています。
―― Gene さんのコースで、少し時間を割いて復習から入るのはそういった理由があったのですね
前提知識が合っていないのに学び始めると、何もわからなくなるので、技術を学ぶときには出発点が重要です。また、一度で技術を理解することは難しいので、復習するときに学んだ順序を辿れるように、資料は体系的に詳しくしています。
―― Gene さんのコースでは本のように膨大なページ数の資料で充実していますものね。
受講者にはコースでどのようなことを伝えたいと思ってらっしゃいますか?
ネットワークはよく構成図などでは雲のように表現されて「モヤモヤ」しています。
その「モヤモヤ」の表現の通り、ネットワークは様々なルート、様々なプロトコルで繋いでいるので複雑です。そんな複雑さを「こんな風にできてきるんだ」「こうやってデータが届いているんだ」ということがわかる楽しさを伝えられるといいですね。
また、それを実感できる演習もやっていきたいと思っています。
―― 最後にクラウド時代を迎えて、ネットワークエンジニアにも変化があると思います。アドバイスがあれば、いただけますでしょうか?
クラウドの登場前から一口にネットワークエンジニアと言ってもポジションはいろいろです。通信キャリアや ISP のネットワーク、社内のネットワーク、データセンタのネットワークなど、様々な場所で様々な技術を使っています。
クラウドに移行しても、クラウド内、つまりは巨大なデータセンタ内のネットワークは変わらず存在していますし、ひきつづきネットワークエンジニアが活躍しています。先日の Facebook で起こった障害もネットワーク、 BGP に関するものでした。
一方、社内ネットワークに関わる方々は、クラウドに繋げるためのネットワークが必要です。クラウド時代が到来してもネットワークが無くなることはなく、技術も基礎の地続きです。しっかりネットワークの学習を続けていきましょう。
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1998 年に精密機器メーカーにシステムエンジニアとして新卒入社したのですが、テストとデバッグばかりであまり面白いと感じられませんでした。ほんのちょっとしたパラメータ修正をして、そのテストとデバッグだけだったので、技術的にもそんなに大したことはやっていませんでした。