DX プロジェクトにおけるマネジメント手法|研修コースに参加してみた
今回参加したコースは DX プロジェクトにおけるマネジメント手法 です。
令和 2 年度の情報処理技術者試験プロジェクトマネージャ試験では DX プロジェクトやアジャイルなどにおけるプロジェクトマネジメントが出題され、従来のウォーターフォール型ではない新たしい潮流が感じられるようになりました。
こういった潮流をうけ、従来のプロジェクトとの違い、 PoC プロジェクトの進め方やスクラムなどなど新しいことを学び始めたプロジェクトマネージャの方も多いのではないでしょうか?
今回のコースでは、そうした DX プロジェクトと従来のプロジェクトのマネジメントの違いをもとに、必要となるスキル、変わらないところを紹介いただきました。
では、どのような内容だったのか、その概要をレポートします!
コース情報
想定している受講者 | 特になし |
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受講目標 | DX プロジェクトにおけるマネジメントのポイントを理解する |
講師紹介
資格対策だけでなくプロジェクトマネジメントのカテゴリでも登壇の多い 三好 康之 さんが登壇されました。
資格対策のカリスマながら、ビジネス/マネジメント ( プロジェクトマネジメント 含む) と幅広く研修でき、どんなコースでも高い満足度を獲得
ご自身のブログでも度々触れられていますが、研修のオンライン配信がスタートした頃からご自宅で本格的なスタジオを設置、試行錯誤されて今では撮影映像・音声ともに超絶クリアで見やすく聞きやすいんです。プロの講師らしい配慮ですね。
DX の見本市、スーパーシティ構想とは
三好さんから DX を話すにあたり、まずスーパーシティ構想を紹介いただきました。
- 令和 2 年 5 月に成立した国家戦略特区法改正案に入っているもの
- 詳しくはこちら
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- AI など最先端技術で 2030 年に未来社会をつくる
- スペイン バルセロナ / 中国 杭州市 など世界のスマートシティがモデル
- 行政 / 移動 / 医療など全 10 分野を連携しながら実現する
- やるには規制改革が必要だが、全国ではなく特区だけ適用する ( PoC という位置づけ)
- 現在 57 の自治体が申請
- この構想に参加するのが軒並み大手 IT 企業
スーパーシティ構想とは
ここでは割愛していますが、どういう連携があるのか解説いただき、住民の体験としてはかなり便利で良さそうに感じました。残念ながら、私の住んでいる自治体は参加していませんでした 😢 。
三好さんは、スーパーシティ構想が DX を加速させると予想されていますが、これは動向をウォッチしたほうがよさそうですね。
また今後 IT エンジニアと DX との関わりについて、 IT エンジニアそのものは仕事にあぶれないものの、一方で、今までのスキルで生きていく人と DX のようなプロジェクトにアサインされるような人とで分かれるだろう、とのことでした。
DX とは
プロローグを終えて、今日の本筋の DX について、なぜ注目されるようになっているのか、改めてその経緯を説明されました。ここでは概要だけを紹介します。
- 2004 年
- スウェーデンの大学教授が定義を公表
- 2018 年
- 政府に研究会 (デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会) が発足
- 2018 年
- 9 月に同研究会が DX レポート を公表
- 「 2025 年の崖」で有名になった
- 2025 年に “既存の IT 市場” : “デジタル市場 (AI / IoT など)” の割合が 6 : 4 になる
- システムの維持費用だけで IT 予算の 9 割以上になり、年間最大 12 兆円の損失になる
- 「 2025 年の崖」で有名になった
- 2018 年
- 12 月に DX 推進ガイドラインを公表
- AI / IoT / ビッグデータを使って、売上アップ ( GDP 130 兆円)
これからわかることは DX で活躍できるのは、シンプルに言うと企業の業績アップに繋がることに寄与できる IT エンジニアである、とのことです。これはとってもムズいやつですね。
従来プロジェクトと DX プロジェクト
では、いよいよ本題の DX プロジェクトについて解説が進みます。
- 成果が出ると合意形成が出来てから粛々と進む
- ステークホルダを特定して要求を調整する
- 調整があるためコミュニケーション能力などが重要視される
- 守りの IT
- 業務の効率化が中心
- こなれた、成熟した技術を使う
- 柔軟性がない
- 成果が出るかどうかはわからない
- 例えば AI であれば使うデータ、データ量によって精度が変わる
- PoC ( Proof of Concept 概念実証) を入れる
- 事前に課題を明確化して成果が出るか検証する
- アジャイルで進める
- 攻めの IT
- 売上アップ
- 差別化とスピードのため技術で差をつける
従来プロジェクト
DX プロジェクト
プロジェクトの成果が出るかどうか、わからないまま進めるというのは、個人的にはかなり怖いと思ってしまいます。失敗すると、誰の責任になるのでしょうか。
ちなみに、この守りの IT と攻めの IT のプロジェクトの違いは IPA が ITSS にプラスするスキルとして発表した ITSS+ にも出ていましたね。
ITSS+(プラス)・ITスキル標準(ITSS)・情報システムユーザースキル標準(UISS)関連情報:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
DX プロジェクトをマネジメントするのに必要なスキル
では、この DX プロジェクトをマネジメントするにあたって、プロジェクトマネージャに必要なスキルを深堀っていただきました。ここではかいつまんで紹介します!
- DX 推進ガイドラインの「はじめに」で PoC のままストップするケースが多いとの報告
- 経営層へのコミットメントが必要と提唱される = IT エンジニアも同じ視点が無いとダメ = 売上に繋がる仕組みを知る
- PMBOK ® 第 6 版でもベネフィット Benefit を出すことが必要と改訂された
- アジャイルがプラスして必要
- 従来開発との違いが「アジャイルソフトウェア開発宣言」によく現れている
- IPA はスクラムの使用を推奨
- アジャイル開発をスクラムマスターが支える (主導するのではない)
- プロジェクトマネージャと異なり QCD を担保するのではない
- 開発チームなどすべての生産性を高めるために振る舞う
- サーヴァント型リーダーシップが求められる
続いて、アジャイル開発の課題や、売上に繋がる仕組みをどのように学ぶのか、三好さんから紹介いただきましたが、これはぜひコースに受講してお聞きください!
最後に、三好さんが総括してこのコースは修了しました。
まとめ
DX プロジェクトと従来のプロジェクトの違いをもとに、必要なマネジメントスキルの変化を解説いただきました。
途中、個人的に DX プロジェクトは怖いと書きましたが、最後の総括で、三好さんから
「 PoC が失敗しても、頑張ったか、ベストを尽くさなかったかで満足度は分かれる。新しいことを楽しむことが大事です。」
とメッセージされていました。
プロジェクトマネージャは「プロジェクトは成功させなければ」という意識がどうしても強いので、この「楽しむ」という感覚は新しく、それを見越したメッセージだったのかも知れませんね。
PMBOK ® の第 7 版ではアジャイル開発が中心に据えられ、どういうスキルが今後必要なのか、探っているプロジェクトマネージャにはとてもオススメのコースでした!
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