IT研修制度インタビュー | 株式会社グロウ ~毎日技術に触れる習慣をつくる~
IT 研修制度は、よくあるヒューマンスキルや階層別研修とは異なり、情報技術 ( IT ) を専門にするので、なかなか構築が難しく、また移り変わりも速いため、運用も難しいものです。
そこで、IT 研修制度がどのようなものか、実際に企業様にお邪魔してインタビューして、そのコツなどを伺っています。
第 7 弾の企業様は、 株式会社グロウ さまです。
社員数 82 名 売上規模比 開発系 80% | インフラ系で 20% |
1985 年設立 |
主に金融、公共、通信領域での開発実績が多く、SES を行っている。インフラ部門も立ち上がり、AWS などクラウドに注力している。 |
小久保 久生 さま
取締役
パンチカードでプログラムを書いていた時代から開発経験を積み、現在は採用や育成など人事部門を管轄
研修制度のあらまし
-今日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
-まずは、どのような研修制度があるのか、教えて頂けますでしょうか ?
入社前研修 ~ 新人研修 ~ OJT研修 ~ 社員研修 という流れになっています。
e ラーニングで 6 ヶ月間、基本情報技術者や応用情報技術者を受講
外部にて Java を中心とした 3 ヶ月間の開発研修
配属先で先輩社員が 9 ヶ月間、マンツーマンでサポート
1年目以降、外部機関での研修や資格取得支援制度でスキルアップ
-それぞれどのような内容なのでしょうか ?
入社前研修は e ラーニングで基本情報技術者などを受講しています。ただ、採用の大前提として、学部などを気にしておらず、IT に縁のない方もいます。
このため、ガッチリ資格取得させるというより、入社にあたって、不安になることが多いので、用語とか雰囲気をわかってほしい、というニュアンスです。
また、新人研修は外部の研修機関で 3 ヶ月実施していて、システムエンジニアとして基礎的な知識をおさえた上で、最後はプログラミングして、作ったものをプレゼンする、というオーソドックスな流れです。
ただ、新人研修はどうしても詰め込む知識が多く、ついていけない新人が増えてきています。
私どもとしては、6 月の修了時点で新人研修で学ぶすべてのことがわかっていなくても構わなく、配属して仕事がスタートできる状態になっていれば OK としています。
-わりとゆるやかなゴールの設定なのですね
これには理由があって、配属先によって、フレームワークも違いますし、サーバサイド / フロントなのか、また配属されたときの開発工程も異なり、技術も知識も変わります。
また、オープン化によって、ある程度、標準化は進んでいるものの、まだまだメーカーやベンダーによって、使うミドルウェアや開発標準なども変わっています。例えば、基本設計と言っても、それはメーカーによって指す意味が変わることがあります。
さらにいうと、最近では開発だけでなく、インフラ部門も立ち上がっているので、そうすると、さらに技術は全く異なってしまいます。
なので、技術を詰め込んでも仕方がない、と思っているんですね。
-なるほど。そういったお考えがあったのですね
新人研修でコーディングはこういう風にやって、ビルドってこんな風にやって、こうやるとテストができるよ、というのがわかれば良いと思っていて、さらに、極論を言うと、配属されたときに、調べ方がわかって、聞き方がわかればよい、これで十分なんです。
ただ、意外に「聞くこと」がムズカシイんですね。周りは忙しそうにしている、こんな質問をすると恥ずかしい、と萎縮してしまうようなんです。
-たしかに配属されると初めてのことばかりですし。あとは調べ方も初めてだと、どのキーワードで「ググる」といいのかわからないことがありますよね
そういったこともあるので、新人研修期間中に加えて、配属後も新人 1 名に対して、1 名の先輩社員がフォローして、わからないことがあれば、新人が気軽に聞ける環境を用意しているほか、先輩社員が日報に対してコメントしています。
ちなみに、金融や公共などの現場では「ググれない」環境も時々あったりします (笑) 。ただ、逆にそういった現場では、たいていマニュアルなど開発資料があるので、それを丹念に調べれば、解決できるのですが。
-そういった業界ではいろいろ事故があって「ググれない」ことになっていると思うのですが、とはいえ、揺り戻しが欲しいですね。
あとは、お話の途中にあった OJT 研修はどのように進めてらっしゃるのですか ?
新人研修が終わった 7 月からプロジェクトに配属し、配属先で 9 ヶ月間 OJT を行います。基本はマンツーマンで実務を通じて学びます。
期間の最後には、年度はじめの全社の会議で、新人は全員「 1 年で学んだこと」をプレゼンしています。
その場には新年度の新人もいるので、このプレゼンを通じて、次の世代にも継承してもらっています。
あと、お客様先に常駐していると、自らの部門に配属された新人は知っていても、どうしても他部門の新人がやっていることや人柄などがわからないので、そのプレゼンでどんな新人がいるのか、わかるようにしています。
資格取得で戦略的に技術に取り組む
- 1 年間の新人研修以降が社員研修ですね
はい、2年目以降は、SEカレッジを使った外部講習と、資格取得支援制度です。(編集部注: 厳密には1年目以降から受講できます)
ただ、この社員研修がまだラインナップとして薄いので、課題に感じています。
SES という業務上、こちらの思いだけで所属変更して、柔軟にキャリアを積むのが難しいというのも関係していて、悩みどころです。
今のところ、金融などの領域では 1 ~ 2 年の比較的期間が長いプロジェクトに配属されることが多く、そのプロジェクトで立ち上がったサブプロジェクトのリーダーを任せるケースが増えています。
それをもとにリーダー層を育成する流れは出てきています。
-先程、お話のあったメーカー独自の技術もあって、スキルセットが共通化しにくいということもありそうですね。
一方で、資格であれば、ある程度、スキルの標準化に繋がりそうですが、どのような制度なのですか?
資格取得支援制度は、受験費用の一部負担 ( 回数制限あり )、合格したときの報奨金などを定めていて、資格によっては、昇進のときの条件になっています。
30年近く運営している制度なんですが、年度のはじめに、全員が資格取得の目標が立てているので、毎年資格リストを見直ししています。
例えば、最近、インフラ部門がクラウドシフトを目指していて、まだ構築運用実績が少ないところを、AWS の資格を全員取得させて、それによって案件獲得につなげようとしています。
このため、リストに AWS の資格を加えたり、毎年アップデートしています。
研修制度を通じて「当たり前のように毎日、興味をもって技術に触れてほしい」
-資格取得を通じて、戦略的に技術に取り組むこともできますね
そうですね。個人的には、資格もそうですが、とにかく日常的に、技術などを勉強する習慣を身に着けてほしい、と思っています。
やはり、現場では「問題を発見して」「問題を解決する」能力が求められるので、例えば、不具合が見つかったとして、どこにあたりをつけて、あまたある手段・ツールの中から解決方法を絞り込む、そこではテクニックが必要になります。
それを積み重ねると、今度は仕様に基づいて開発するときも、どこに問題が発生しやすいのか、先回りして開発できるようになります。
そうなるためには、研修や資格、書籍など技術に日頃から触れていることが必要で、それが積み重なると、現場のマニュアルや仕様、設計書などドキュメントを読むときにも、スッと理解できます。
-たしかに最初はわからなくても、ただ読んでるだけでも、繋がることがありますよね
なので、研修制度を通じて、毎日のルーティンとして、興味をもって技術に触れるようになって欲しいんですね。
そうすることで、先程の調べ方にあった「ググる」ときの精度もあがり、インターネットの記事の真贋や品質もわかるようになります。
たとえば、StackOverFlow など QA サイトで、ズバッと解決策を言い切っていることもありますが、かなり局所的な解決方法だったりします。日頃、技術に触れていれば、そういった記事も疑問に感じられるようになります。
-小久保さんもそのようなご経験があるのですか ?
そうですね、私自身もSEカレッジ導入の際、見学にいき、 米山 学 さんのコースに参加したのですが、画面を見ながらタイプするのが精一杯でした。ただ、その時間は余計なことを考えずに、集中して技術を触れることができました。
私がこの業界に入ったときも、ゼロからスタートして、一つ一つが初めて知る技術ばかりだったので、失敗もたくさんしましたが、うまくいくと楽しくなり、こうするとどうだろう、と興味を広げながら学んでいましたので、そのころを、見学の体験で思い出しました。
なので、SEカレッジの受講もある程度、強制して「技術に触れる時間」を作ろうとしていて、技術社員の大半が平均2コースぐらいのペースで受講しています。
まぁ、私が入社したときの学び方なので、紙カードのときですが。
パンチカード時代も今も変わらないところ
-紙カードですか? パンチカードと呼ばれるものですよね
そうですそうです。束になるぐらい紙に書いて、また、それを落とすと大変なんです。バラバラになってしまうので、それを並べ直すのも、また一苦労なんです。
-コンピュータの歴史でしか見たことがないものだったのに。。そのときはインターネットもない状況で、どのように技術を学んでいたのですが
そのときはメーカー主導の時代だったので、マニュアルで学んでいました。マニュアルと言っても、部屋いっぱいにあったんですよ。
なので、困ったとしても、必ず、マニュアルのどこかに書いてあるので、マニュアル庫に行って引っ張り出して、解決していましたね。
また、マニュアルだけでなく、今と比べて当時は、仕様書や設計書などドキュメントも真面目にビッシリ書いていたので、それもよく見ていましたし、それで解決できていたので、それも楽しい経験でした。
なので、やはり興味をもって技術に取り組む機会を増やすことが、やりがいや楽しさにつながり、それが研修制度で実現したいことですよね。
-なるほど! ただ、その「興味を持つ」というのが難しく、以前に N 予備校のプログラミングコースの講師の方の記事 を読んだことがあって、そこで「やりたいことが無い問題」というのが挙げられていました。
このケースが結構多いのですが、小久保さんのご経験から何か工夫できる点はありそうでしょうか?
私個人の工夫とはなりますが、開発現場はもちろん、社内の作業でも、とても手間がかかるものがあるじゃないですか。データをコピーしたり入力したり、計算させたり。
それを解決するツールを作るのは、とても良い材料になると思います。最初は自分だけが便利になったりするものでもよいんですね。
-たしかに、そういったものだと規模も小さくて取り組みやすいですね! ありがとうございます!!
では、最後にメッセージをお願いします!!
グロウでは未経験で入社されても、研修制度をはじめ、技術に取り組むマインドや姿勢を徐々にでも身につけてもらえるようサポートしています。
IT エンジニアとしていちばん重要なことを身につけられる環境ですので、ご応募お待ちしています。
-今日はありがとうございました !
ありがとうございました
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