ユーザーエクスペリエンス・デザイン 入門 研修コースに参加してみた
今回参加した研修コースは ユーザーエクスペリエンス・デザイン入門 です。
UXというと、なかなかバズワードです。最近ではUXデザイナー、UXライターと呼ばれるポジションが登場し、かなりデザイナー寄りに見えてしまいます。
ですが、実際参加してみると、UXデザインはデザインでもシステムでもなく、いかにユーザーをふかーーーく観察する、ということが重要で、エンジニアも、デザイナーも、PMも、セールスも関係ないことが分かりました。ただ、誰でもスグに出来るわけではなく、やはり、ユーザーを観察する訓練が必要です。
このコースでは、実際に進め方を体験しながら、UXをどう設計するのか、その考え方と背景を学べるコースでした。いまの要件定義に疑問がある、UXが気になるという方にはとてもオススメです !!
では、どんな内容だったのか、レポートします!
もくじ
想定する受講者
- 要件定義の経験者
受講目標
- ビジネス価値とITシステムのマッチング方法について理解する
講師紹介
この参加してみたレポートでは初登場となる 志賀 澄人さん です。
普段はJavaなど技術系資格書籍の執筆や開発系の研修での登壇に加え、近年では上流の要件定義、超上流でのUX開発のトレーニングにも登壇されています。
以前には弊社が2014年に学生向けに開催した リーン・スタートアップ勉強会 に登壇されたほか、ご自身でもオンライン学習プラットフォーム「マメトレ」という製品をローンチしたばかりです。(オンライン学習で修了率 90%以上を誇ります。す、すごい。。)
ユーザーは何に喜ぶのか // ユーザー中心の設計とは?
- システムの導入効果がわからない
- 部分最適だから
- 全体をデザインしないとダメ
- 全体とは
- ビジネスモデル -> サービスデザイン (なにを提供するのか) -> ビジネスプロセスの改善 (どうやって提供するのか) -> システム化
- 今日はこのサービスデザイン、UXDのお話
このサービスデザインにあたって問題となるのが、「業務内容は知っているけど、ユーザーのことは知らない」という点です。
具体的なUXデザインの前に
- 考え方を変えずに行動や道具を変えても上手くいかない
- スグに新しいものを取っ替え引っ替えやってしまう
- 考え方が変わるとツールが同じでも行動と結果が変わる
考え方を変える -> デザイン思考
- エンジニアにはデザイナーの考え方のように見えるが違う
- 新しい機会を見つけるための問題解決プロセス
- コーディネーターではない
- 例えばインテリアを組み合わせるだけ
- 今ある問題だけでなく、新しい問題を見つけること
- お客様が間違っているという観点が重要
システムの導入効果が分からない、というのは根深い問題ですが、それもあって最近では「共創」と銘打ち、SI大手も事例を増やしていますね。
ユーザーエクスペリエンスデザインのやり方
対象ユーザーの調査 -> ペルソナ
- ユーザーセグメントの抽出
- 属性を使ってユーザー像を割り出しがち
- ex. 年収400万 で CS放送を契約している
- これではユーザー像が思い浮かばない
- そもそもチームで同じユーザー像を共有することが目的
人・モノ・コトの関わり方尺度でユーザー像を割り出す
- 行動に着目する
- ex. 連続ドラマをよく録画する
- 10個ぐらい質問を用意する
- ex. 普段テレビはどのような番組を見ていますか?
- これで分類できる
- ペルソナの仮説を立てる
属性でやってしまいがちです。私がやっているのは、実際に観察できるユーザーをペルソナにしてしまうのですが、これはOKなのか。。
グループ演習
演習では講師から出されたテーマをもとに4~5人で取り組みます。
Q. 映画を好きな普通の方がどのように映画に関わっているか?
ex. 映画のブルーレイをコレクションしている
Q. 関わり方をグルーピングしてみましょう
ex. 映画のDVDをコレクションをしているならamazonをよく使っているはず
ペルソナ仮説と検証
いままでのユーザー像はあくまでペルソナ仮説です。では、そのユーザーが言うことや行動はすべて正しいのか? という問いから始まりました。
観察する (エスノグラフィー)
- 心と脳のマーケティング
- 考えていること、言っていること、やっていること、感じていることは全部バラバラ
- つまり合理的に動いていない
- ユーザーはなぜそうしたのか説明できない
- フィールドワークで実際に見てみる
フィールドワークのやり方
- 人は見たいものしか見えない
- 視点を固定しないと見えない
見たいものしか見えない、というのを普段からやってしまっているので、視点を固定する、というのは確かに効きそうです。実際にやるときには、この行動といったターゲットを決めるとよいのでしょう。
ペルソナを作成する
観察しているとペルソナ仮説と異なる行動がたくさんとられます。そこで、デプスインタビューして深層を探ります。
表出している問題より、顕在化していないものに注目する
- パターン
- 構造
- メンタルモデル: 感情のモデル
- 4種類ある
- トラウマとかが出てくる
- U理論やシステム思考を調べてみると出てきます
- 最後にストーリー化
- 物語調で記述する
チーム内でユーザーではなく、ペルソナの名前で呼び始めると浸透し始めた証拠かもしれません。
As-Is モデルをつくる
- ユーザーは何を感じているのだろうか
- エクスペリエンスジャーニーマップで記述する
- 感情に寄り添うこと
- ユーザーの行動: 人と物と場でそれぞれ書く
- どんな体験をしているのか
- どんな感情を抱いているのか
- 感情としてネガティブなところを改善しよう
これはよく見るやつですが、「知っている」のと「やる」のとでは大きく違います。と、開発エンジニアから言われました w
実際、 いまの製品 で私も「知ってから、サイトで資料請求する」までをやってみたのですが、これはとても良くて、やっている広告施策の失敗に気づけました。。成功に向けて練り直し中です。
演習
Q. なにかを見て映画を知って、観に行こうとするまでをエクスペリエンスジャーニーマップで書いてみましょう
- この演習をすると改善まで踏み込んでいることがある
- スグに問題を判断してしまう
- 判断とあきらめと恐れによって判断している
- これは個人だけでなく集団でもやってしまう
- 改善が部分最適になってしまう
- どんな判断をしてしまって、どんなあきらめをしたのかふりかえりましょう
- あきらめが無くなると、どうなるのか考えてみましょう
アイデアをどう出すのか
- 現実 (認識) は人と人との対話から生まれている
- 相手にも新しい現実が生まれるので、対話はとても重要
- 注意したいのは正しい回答をしようとすると、現実が歪むことが多い
大好きな本に アイデアのつくり方 という本があるのですが、そこでも異なる知識や体験が合わさってアイデアは生まれるとあって、これの実現には「人と対話する」のが一番手っ取り早いのだと感じました。
導いた解決策でユーザーが動かない
では、考えたアイデアを試してみたが、ユーザーが行動しないときはどうするのか解説いただきました。
インセンティブを考える
- プラスのインセンティブ (好子)
- 止められない、反復したくなる
- たとえばタバコ
- マイナスのインセンティブ (嫌子)
- 回避したくなる
- タバコは辞められない
- ユーザーの行動の95%~97%は潜在意識が決定している
- 好子と嫌子の順番が関係している
- (好子) タバコを吸って気持ち良い -> (嫌子) 喫煙は色々なことに悪影響
- 順番を変えたりするとよい
- タバコの場合、クスリで好子の気持ちよさを消すと禁煙できた (志賀さん談)
- 「使ってくれればこんなに良いのに」と嘆くことが起こる理由
目からウロコのお話でした!!
これを聞くと、ソーシャルゲームによくあるログインボーナスでキャラGETというキャンペーンは、特典というだけでなく、ゲームで成功体験から始められる、というのがポイントなのかと理解しました。
という話で、製品の改善アイデアが生まれるので、人との対話だけでなく研修も一種、アイデアが生まれるものなのかも知れません。
ここまで説明したところ、このコースは修了しました。
まとめ
このコースでは、UX、ユーザーエクスペリエンスをどのように設計するのか、進め方を体験しながら、その背景や考え方を学びました。
このコースは3時間でしたが、フィールドワークからプロトタイピングから検証までを5日間でやる 「デザインスプリント」 というトレーニングもあり、SEカレッジでもやってみたい受講者がいれば、別プランで出来ないかなぁと思っています。
(もちろん講師は志賀さんです!)
UXの進め方を学ぶ内容ですので、いまの要求や要件定義のやり方をもうちょっとなんとかしたい、もしくはこれからUXや「共創」に取り組むという方にはオススメです!!
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