「厳選5題」過去問と解説 | 平成26年度 秋期 の過去問やるならこれをやれ


2020-11-20 更新

ここでは、平成 26 年度 秋期 基本情報技術者試験の午前試験 の中から「やるべき問題」を 5 題に厳選し、ぶっちゃけた解説をさせていただきます。

やるべき問題とは、よく出る問題であり、かつ、練習すればできる問題(練習しないとできない問題)です。

info 本記事ではわかりやすいよう、過去問題に下線を引いています

厳選問題looks_one逆ポーランド表記法は、決して難しくありません

問 4 (平成 26 年度 秋期 午前)

次に示す計算式と逆ポーランド表記法の組合せのうち,適切なものはどれか。

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計算式 逆ポーランド表記法
( ( a + b ) * c ) – d abc * + d –
( a + ( b * c ) ) – d ab + c * d –
( a + b ) * ( c – d ) abc * d – +
a + ( b * ( c – d ) ) abcd – * +
解説

通常の計算式は、

a + b のように「値」「演算子」「値」

の順になっていてますが、これを

ab + のように 「値」「値」「演算子」

の順にしたものを「逆ポーランド表記法」 と呼びます。 ポーランド人の学者が考案したものだからです。

逆ポーランド表記法は、プログラムで処理するのが容易 であり、演算を優先させるカッコが不要になる という特徴があります。

 

この問題は、通常の計算式を逆ポーランド表記法に変換せよ、というものです。

難しそうだと感じるかもしれませんが、「逆ポーランド表記法は、人間が計算するときの考えをそのまま表している」ということがわかれば、すぐに逆ポーランド表記法を理解できるはずです。

たとえば、人間は、
a + b という計算式を「 a と b を足す」と考えて計算します。 「 a と b を足す」をそのまま表すと「 ab + 」になります。 これが、逆ポーランド表記法です。

 

よい練習になりますので、選択肢ア~エの計算式を逆ポーランド表記法に変換してみましょう。 その際のポイントは、「人間が計算するときの考えをそのまま表す」 です。

アの ( ( a + b ) * c ) – d は、

  1. 「 a と b を足し」
  2. 「その結果に c を掛け」
  3. 「その結果から d を引く」

ですから、

  1. 「 ab + 」
  2. 「 c * 」
  3. 「 d – 」

であり、続けて書くと ab + c * d – です。

イの ( a + ( b * c ) ) – d は、

  1. 「 a に」
  2. 「 b と c を掛けた結果を」
  3. 「足し」
  4. 「その結果から d を引く」

ですから、

  1. 「 a 」
  2. 「 bc * 」
  3. 「 + 」
  4. 「 d -」

であり、続けて書くと abc * + d – です。

ウの ( a + b ) * ( c – d ) は、

  1. 「 a と b を足し」
  2. 「その結果に」
  3. 「 c から d を引いた結果を」
  4. 「掛ける」

ですから、

  1. 「 ab + 」
  2. 「 cd – 」
  3. 「 * 」

であり、続けて書くと ab + cd – * です。

エの a + ( b * ( c – d ) ) は、

  1. 「 a に」
  2. 「 b に」
  3. 「 c から d を引いた結果を」
  4. 「掛けた結果を」
  5. 「足す」

ですから、

  1. 「 a 」
  2. 「 b 」
  3. 「 cd – 」
  4. 「 * 」
  5. 「 + 」

であり、続けて書くと abcd – * + です。

通常の計算式と逆ポーランド表記法が合っているのは エ だけなので、エ が正解です。

 

いかがですか。 決して難しくないですね!

解答 エ

info_outline『逆ポーランド記法』はこの記事でも練習できます

「厳選 5 題」過去問と解説 | 平成 25 年度 春期 の過去問やるならこれをやれ

厳選問題looks_two別名を知れば、内部割込みと外部割込みを簡単に区別できます

問 10 (平成 26 年度 秋期 午前)

内部割込みに分類されるものはどれか。

商用電源の瞬時停電などの電源異常による割込み
ゼロで除算を実行したことによる割込み
入出力が完了したことによる割込み
メモリパリティエラーが発生したことによる割込み
解説

一般的なコンピュータには、実行中のプログラムを一時的に中断して、別のプログラムに切り替えて処理を行い、また元のプログラムに戻るという機能があり、これを「割り込み」と呼びます。 割り込みには、「内部割込み」と「外部割込み」があります。

この問題は、内部割込み に該当するものを選ぶものです。

 

内部割込みと外部割込みの違いは、それぞれの別名を知れば簡単に理解できます。

内部割込み
ソフトウェア(プログラム)の動作によって生じるもので、別名「ソフトウェア割込み」 と呼ばれます
外部割込み
ハードウェア(装置)の動作によって生じるもので、別名「ハードウェア割込み」 と呼ばれます

ソフトウェアによるものなら内部割込みであり、ハードウェアによるものなら外部割込みです。

 

それでは、選択肢を見てみましょう。

電源装置 というハードウェアによるものなので、外部割込みです。
プログラムの除算 によるものなので、内部割込みです。
入出力装置 というハードウェアによるものなので、外部割込みです。
メモリ というハードウェアによるものなので、外部割込みです。

内部割込みは、イ だけなので、イ が正解です。 簡単ですね!

解答 イ

厳選問題looks_3実効アクセス時間の計算は、期待値の計算です

問 11 (平成 26 年度 秋期 午前)

A ~ D を,主記憶の実効メモリアクセス時間が短い順に並べたものはどれか。

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キャッシュメモリ 主記憶
有無 アクセス時間
(ナノ秒)
ヒット率
(%)
アクセス時間
(ナノ秒)
A なし 15
B なし 30
C あり 20 60 70
D あり 10 90 80

ア A, B, C, D  
イ A, D, B, C
ウ C, D, A, B  
エ D, C, A, B

解説

コンピュータの演算制御装置である CPU(プロセッサ)と比べて、 DRAM の主記憶(メインメモリ)はとても遅いものです。

そこで、CPU の内部に高速な SRAM を用意して、主記憶から読み出したデータを保存しておく、という仕組みが使われていて、この SRAM を「キャッシュメモリ」と呼びます。

CPU が必要とするデータが運良く キャッシュメモリ にあれば、データを高速に読み出せます。 運が良い確率を「ヒット率」と呼びます。

主記憶とキャッシュメモリから構成されたシステムでは、主記憶を読む確率と、キャッシュメモリを読む確率から、メモリアクセスの平均時間が求められ、これを「実効アクセス時間」と呼びます。

 

たとえば、ヒット率(キャッシュメモリを読む確率)が 80 % なら、ヒットしない率(主記憶を読む確率)は 20 % なので、

実効アクセス時間
= キャッシュメモリのアクセス時間 × 0.8 + 主記憶のアクセス時間 × 0.2

になります。 これは、期待値の計算方法です。

この問題は、システム A ~ D の実効アクセス時間を求め、それらを短い順に並べよ、というものです。

A は、キャッシュメモリがなく主記憶だけなので、実効アクセス時間は 15 ナノ秒です。

B も、キャッシュメモリがなく主記憶だけなので、実効アクセス時間は 30 ナノ秒です。

C の実効アクセス時間は、20 × 0.6 + 70 × 0.4 = 40 ナノ秒です。

D の実効アクセス時間は、10 × 0.9 + 80 × 0.1 = 17 ナノ秒です。

短い順に並べると、 A 、 D 、B 、C なので、イ が正解です。 実効アクセス時間の計算は、とてもよく出題されるので、練習しておいてください。

解答 イ

info_outline『期待値』の計算を練習できる記事

期待値の計算方法がわかる|かんたん計算問題

厳選問題looks_4論理回路の問題は、効率的に解ける入力パターンを考えよう

問 21 (平成 26 年度 秋期 午前)

図の論理回路と等価な回路はどれか。


ア 
イ 
ウ 
エ 

解説

問題に示された論理回路で使われている図記号を MIL 記号(ミルきごう)と呼びます。

MIL 記号は、 AND 、 OR 、XOR 、 NOT 、 NAND 、 NOR などの論理演算を行う回路を示します。

試験問題の冒頭に、 MIL 記号 の一覧表があるので、丸暗記する必要はありませんが、覚えておいた方がよいでしょう。

選択肢では、

アが OR 回路
イが AND 回路
ウが XOR 回路

です。

エは、 OR 回路の出口に NOT を意味する白丸があるので、 NOR( NOT OR )回路です。

問題に示された図記号は、 AND 回路 の出口に NOT を意味する白丸があるので、 NAND( NOT AND )回路です。

 

論理回路の問題を解くには、 問題と選択肢それぞれの回路に 0 と 1 の入力パターンを想定して、それらによって得られる出力が同じになるものを選べばよいのですが、効率的に解けるように入力パターンを考えてください。

この問題では、問題も選択肢も回路の入力が 2 つなので、入力パターンは、

「 0, 0 」
「 0, 1 」
「 1, 0 」
「 1, 1 」

の 4 つです。 これらの中で、選択肢を半分に絞り込める入力パターンを選ぶと効率的です。

たとえば、

「 0, 0 」を入力した場合の出力は、

  • アが 0
  • イが 0
  • ウが 0
  • エが 1

になります。 したがって、「 0, 0 」は効率的ではありません。

「 0, 1 」を入力した場合の出力は、

  • アが 1
  • イが 0
  • ウが 1
  • エが 0

になります。 したがって、「 0, 1 」なら選択肢を半分に絞り込めるので効率的です。

問題の回路に「 0, 1 」を入力すると、出力は以下のように 1 になります。 これによって、答えを ア と ウ に絞り込めます。


今度は、ア の OR 回路と ウ の XOR 回路で異なる出力となる入力パターンを選びましょう。

「 1, 1 」なら ア の出力は 1 になり、ウの出力は 0 になります。

問題の回路に「 1, 1 」を入力すると、出力は以下のように 0 になります。 これで、答えを ウ に絞り込めます。 ウ が正解です。

「 0, 0 」「0 , 1 」「 1, 0 」「 1, 1 」の 4 つのパターンのうちの 2 つで、効率的に問題を解けました!


解答 ウ

searchタグで関連記事をチェック論理回路

厳選問題looks_5関係データベースでなくても、データをたどれるかどうかがポイントです

問 24 (平成 26 年度 秋期 午前)

ある企業では,顧客マスタファイル,商品マスタファイル,担当者マスタファイル及び当月受注ファイルを基にして,月次で受注実績を把握している。 各ファイルの項目が表のとおりであるとき,これら四つのファイルを使用して当月分と直前の 3 か月分の出力が可能な受注実績はどれか。

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ファイル 項目 備考
顧客マスタ 顧客コード,名称,担当者コード,前月受注額, 2 か月前受注額, 3 か月前受注額 各顧客の担当者は 1 人
商品マスタ 商品コード,名称,前月受注額, 2 か月前受注額, 3 か月前受注額
担当者マスタ 担当者コード,氏名
当月受注 顧客コード,商品コード,受注額 当月の合計受注額

ア 顧客別の商品別受注実績
イ 商品別の顧客別受注実績
ウ 商品別の担当者別受注実績
エ 担当者別の顧客別受注実績

解説

この問題のテーマは、データベースですが、いくつかの表から構成された関係データベースではなく、いくつかのファイルから構成された手作りのデータベースです。

問題の意図は、ファイルから別のファイルにたどって、”当月分” と “直前 3 か月” の受注実績が得られるのは、選択肢のどの情報ですか、というものです。

はじめて見た人には、わかりにくい問題だと思いますので、きちんと練習しておきましょう。

 

ファイルから別のファイルをたどる方法は、関係データベースと同様です。 それぞれのファイルに同じ項目があればたどれます。

以下に示したように、

「顧客コード」で「顧客マスタ」と「当月受注」をたどれます。
「担当者コード」で「顧客マスタ」と「担当者マスタ」をたどれます。
「商品コード」で「商品マスタ」と「当月受注」をたどれます。

ファイル 項目 備考
顧客マスタ 顧客コード,名称,担当者コード,前月受注額, 2 か月前受注額, 3 か月前受注額 各顧客の担当者は 1 人
商品マスタ 商品コード,名称,前月受注額, 2 か月前受注額, 3 か月前受注額
担当者マスタ 担当者コード,氏名
当月受注 顧客コード商品コード,受注額 当月の合計受注額

それでは、選択肢を 1 つずつチェックしてみましょう。

ア 顧客別の商品別受注実績
「顧客マスタ」と「当月受注」を「顧客コード」でたどれば当月の受注実績を得られますが、直前3か月の受注実績は得られません。
イ 商品別の顧客別受注実績
「商品マスタ」と「当月受注」を「商品コード」でたどり、「当月受注」と「顧客マスタ」を「顧客コード」でたどれば、当月の受注実績を得られますが、直前 3 か月の受注実績は得られません。
ウ 商品別の担当者別受注実績
「商品マスタ」と「当月受注」を「商品コード」でたどり、「当月受注」と「顧客マスタ」を「顧客コード」でたどり、さらに「顧客マスタ」と「担当者マスタ」を「担当者コード」でたどれば、当月の受注実績を得られますが、直前 3 か月の受注実績は得られません。
エ 担当者別の顧客別受注実績
「担当者マスタ」と「顧客マスタ」を「担当者コード」でたどれば、直前 3 か月の受注実績が得られます。 さらに「顧客マスタ」と「当月受注」を「顧客コード」でたどれば、当月の受注実績も得られます。

したがって、エが正解です。 いかがでしょう。 問題の解き方がわかれば、難しくありませんね!

 

解答 エ

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記事をお読みいただきありがとうございます。

もしも、一度解いただけでは、よくわからない問題があったなら、わかるまで何度でも練習してください。 「やるべき問題」は「わかるまでやるべき問題」だからです。

この厳選問題大全集が、受験者の皆様のお役に立てば幸いです。

 

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