過去10回分から分析 基本情報技術者試験 午後 問題の出題傾向 (2019秋期試験 更新)


2020-01-14 更新

基本情報技術者試験の午後問題には、まったく同じ問題が出題されたことはありません。

それでは、何か傾向のようなものはあるのでしょうか? 近年 10 回の午後問題の内容を調査してみました。

午後問題は、分野ごとに、どのようなタイプの問題が出題されるかで分類できます。

もしも、これらの分類の中に苦手なものがあれば、重点的に学習してください。それが得点アップの秘訣です。

fiber_new 令和元年( 2019 年)度 秋期試験 の問題を加えて、更新しました。
最新の令和元年度 秋期試験の問題に関しては、これまでの試験と比べた特徴や難易度をコメントさせていただきます。

令和 2 年度 以降の午後の選択問題

令和 2 年度 春期試験以降、以下のように、出題分野が統合され、分野ごとの出題数、配点などが変更されます。

午後試験の変更点まとめ

  • COBOL 廃止、Python 追加
  • アルゴリズム、ソフトウェア開発それぞれの配点が 25 点 (それに伴って他の配点も変更)
  • 11 問出題 5 問選択
    • テクノロジ分野から 3 問出題、マネジメント/ストラテジ分野から 1 問出題され、2 問選択
      (必須選択は変わらず)
変更点は にしています

分野 出題数 選択
配点
1 情報セキュリティ 1 問 必須
20 点
2 ~ 4 ソフトウェア・ハードウェア 3 問 2 問
15 点/問
データベース
ネットワーク
ソフトウェア設計
5 プロジェクトマネジメント 1 問
サービスマネジメント
システム戦略
経営戦略・企業と法務
6 データ構造及びアルゴリズム 1 問 必須
25 点
7 ~ 11 ソフトウェア開発
C,Java,Python,アセンブラ言語,表計算ソフト
5 問 1 問
25 点

ここにあるプロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム戦略、経営戦略・企業と法務は、この記事において、マネジメント・ストラテジを指します。

情報セキュリティの出題傾向(午後 問 1 )

出題テーマの分類

  • 「暗号化やディジタル署名などの技術に関する問題(技術)」
  • 「セキュリティの管理に関する問題(管理)」

技術の方が管理より頻繁に出題されています。

ただし、必須問題なのですから、管理も練習しておきましょう。

令和元年度 秋期試験は、技術の問題であり、必要とされる知識は、ファイアウォール、パケットフィルタリング、ネットワークの構成図、VPN サーバと VDI サーバの役割、などです。

きちんと午前問題を練習していれば、それほど難しくなかったでしょう。

年度 テーマ 分類
H27春 インターネットを利用した受発注システムのセキュリティ 技術
H27秋 ログ管理システム 管理
H28春 Webサーバに対する不正侵入とその対策 技術
H28秋 販売支援システムの情報セキュリティ 技術
H29春 ファイルの安全な受渡し 技術
H29秋 SSHによる通信 技術
H30春 Webサービスを利用するためのパスワードを安全に保存する方法 技術
H30秋 情報セキュリティ事故と対策 技術
H31春 クラウドサービスの利用者認証 技術
R01秋 テレワークの導入 技術

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午後問題の読み方~情報セキュリティ

ソフトウェア・ハードウェアの出題傾向(午後 問 2 ~ 問 4 )

令和 2 年度 春期試験以降、ハードウェアとソフトウェアは分野が同一になり、ハードウェア・ソフトウェアとなりました。

ハードウェアの出題傾向

年度 テーマ 分類
H27春 (出題なし) (出題なし)
H27秋 浮動小数点数 基礎知識
H28春 (出題なし) (出題なし)
H28秋 (出題なし) (出題なし)
H29春 温度モニタ 高度な知識
H29秋 (出題なし) (出題なし)
H30春 論理回路 基礎知識だけ
H30秋 (出題なし) (出題なし)
H31春 (出題なし) (出題なし)
R01秋 (出題なし) (出題なし)
出題テーマの分類

  • ほとんどが 2 進数に関する問題

コンピュータの内部では2進数で情報を表現しているので、2 進数 ≒ ハードウェア というわけです。

10 進数と 2 進数の変換
2 の補数表現
算術シフト
ビット演算(マスク演算)
加算回路
浮動小数点数

など、午前問題で取り上げられる基礎知識だけで解ける問題が多いので、午前問題を数多く練習しておきましょう。

令和元年度 秋期試験 には、ハードウェアの問題は出題されていません。

また令和 2 年度 春期試験以降、ソフトウェアと分野が同一になり、ハードウェア・ソフトウェアとなりました。

 

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午後問題の読み方 ~ハードウェア

ソフトウェアの出題傾向

年度 テーマ 分類
H27春 言語処理系 コンパイラ(インタプリタとの違い)
H27秋 (出題なし) (出題なし)
H28春 リスト構造で管理されているセルとガベージコレクタ その他(リスト構造、ガベージコレクタ)
H28秋 コンパイラの字句解析と構文解析 コンパイラ( BNF、状態遷移図、構文木)
H29春 (出題なし) (出題なし)
H29秋 プロセスの排他制御 OS(排他制御、セマフォ)
H30春 (出題なし) (出題なし)
H30秋 プロセスのスケジューリング ランドロビン、優先度順方式
H31春 仮想記憶方式 OS(仮想記憶)
R01秋 スレッドを使用した並列処理 OS(スレッド並列法)
出題テーマの分類

  • 「 OS に関する問題( OS )」
  • 「コンパイラに関する問題(コンパイラ)」
  • 「その他の問題(その他)」

OS に関する問題がよく出題されているので、過去問題を重点的に練習しておくとよいでしょう

令和元年度 秋期試験の問題は、マルチプロセッサシステムにおいて複数のスレッドを並列に実行する「スレッド並列法」がテーマでした。

午前試験には、出題されたことがないテーマですが、スレッドや並列実行の意味がわかれば、それほど難しくなかったでしょう。

 

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午後問題の読み方 ~ソフトウェア

データベースの出題傾向(午後 問 2 ~ 問 4 )

年度 テーマ 分類
H27春 自治会員の情報を管理する関係データベースの設計及び運用 SQL 、正規化
H27秋 電子部品の出荷データを管理する関係データベースの運用 SQL
H28春 遊園地の入園者情報を管理する関係データベース SQL
H28秋 従業員の通勤情報を管理する関係データベース SQL
H29春 住民からの問合せに回答するためのデータベース 制約
H29秋 会員制通信販売事業者における会員販売データ管理 SQL
H30春 小学生を対象とした、ある子供会の名簿を管理する関係データベース SQL
H30秋 コンサートチケット販売サイトの関係データベースの設計及び運用 SQL
H31春 定期健康診断のデータが登録されているデータベース SQL 、制約
R01秋 書籍及び貸出情報を管理する関係データベースの設計及び運用 SQL 、DB 設計
出題テーマの分類

  • SQL
  • 正規化( 非正規形、第 1 正規形、第 2 正規形、第 3 正規形 )

ただし、平成 29 年度 春期試験の「制約( NULL 制約、参照制約、チェック制約 など)」のように、やや奇抜な問題が出題されることもまれにあります。

令和元年度 秋期試験の問題は、前半部が MAX や COUNT などの集約関数、GROUP BY 、HAVING 、CASE 式などの SQL で、後半部は DB 設計(ユーザーの要望に合わせて DB の構造を修正する)という内容でした。

後半部は、やや難しかったでしょう。

 

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午後問題の読み方 ~データベース

ネットワークの出題傾向(午後 問 2 ~ 問 4 )

年度 テーマ 分類
H27春 ホスト名の衝突 ドメイン名、DNS
H27秋 Web サイトにおけるセッション管理 HTTP 、セッション ID
H28春 イーサネットを介した通信 MAC アドレス、ARP
H28秋 Web 画面の表示に要するデータ転送時間 計算問題
H29春 無線 LAN におけるデータの送信 計算問題
H29秋 コールセンタ設備の構成案及び必要となるオペレータ数の検討 計算問題
H30春 クラウドサービス上でのシステム構築 計算問題、ポート番号
H30秋 ネットワークの障害分析と対策 ルータ、スイッチ、ファイアウォール
H31春 e ラーニングシステムの構成変更 IP アドレス、セッション ID 、負荷分散、待ち行列モデル
R01秋 NAT NAT( NATP )

ネットワークは、午前問題に出題される様々な基礎知識が出題されています。

これといった傾向はないので、基礎知識を幅広く勉強しておくことが重要 です。

伝送時間 や キャッシュの効果 などに関する計算問題もよく出題されているので、該当する過去問題を解いて練習しておきましょう。

令和元年度秋期試験では、NAT( NAPT )の具体例に関する問題が出題されました。

NAT や NAPT の言葉の意味を覚えるだけでなく、その仕組みも学習しておかないと解けない、やや難しい問題でした。

 

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午後問題の読み方 ~ネットワーク

– PR –

ソフトウェア設計の出題傾向(午後 問 2 ~ 問 4 )

年度 テーマ 分類
H27春 営業支援システム E-R図、CRUD表
H27秋 決定表を用いた注文機能の設計 決定表
H28春 スマートフォンを用いた店舗検索システム UML(シーケンス図)
H28秋 レンタル業務システムの設計 UML(クラス図、シーケンス図)
H29春 購買システムにおける注文書出力処理 フローチャート
H29秋 買上げ・入金管理システムを用いた月次集計処理 E-R 図、フローチャート
H30春 健康管理システムの設計 フローチャート
H30秋 購買管理システムで行う処理 フローチャート、決定表
H31春 農産物の検査管理システム E-R 図
R01秋 ストレスチェックの検査支援を行うシステム フローチャート
出題される図表

  • フローチャート
  • UML
  • E-R 図
  • CRUD 表
  • 決定表 など

問題を解く以前の知識として、図の役割と読み方を知っておきましょう。

もしも、上記の図の中に知らないものがあれば、必ず調べておいてください。出題頻度の多い UML(クラス図、シーケンス図)は、重点的に学習してください。

かつてのソフトウェア設計の問題は、他の選択問題と比べてボリュームが多かったのですが、最近ではボリュームが少なくなっています。

令和元年度 秋期試験には、説明を読み取って、フローチャートの条件を埋める問題が出題されました。ボリュームは、わずか 4 ページでした。

 

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午後問題の読み方 ~ソフトウェア設計

マネジメント系とストラテジ系の出題傾向(午後 問 5 )

令和 2 年度 春期試験以降、マネジメント系(プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント)、ストラテジ系(システム戦略、経営戦略・企業と法務)から 1 問出題と変更されました。

Mはマネジメント系、Sはストラテジ系を示す。

年度 テーマ 分類
H27春 Mプロジェクトにおけるコミュニケーションの計画
Sシステム開発の投資評価
時間小
時間大
H27秋 Mプロジェクトの見積り
S新システム稼働による業績改善
時間小
時間大
H28春 Mソフトウェアパッケージ導入時の調達先選定
S販売データの分析
時間小
時間大
H28秋 M単体テストにおける品質管理
S業務提携と出資の検討
時間小
時間小
H29春 Mプロジェクトの要員計画
S在庫補充方法の変更
時間大
時間小
H29秋 M情報システム運用サービスの予算策定と提示価格の計算
S購買管理システムの導入による業務改善効果
時間大
時間大
H30春 MEVM ( Earned Value Management )手法を用いたプロジェクト管理
S収益の検討
時間大
時間小
H30秋 Mプロジェクトのスケジュール作成
S広告制作業務の現状把握と改善
時間小
時間大
H31春 M社内システムの仕様変更の扱い
S製造業における情報システムの統合
時間小
時間小
R01秋 M販売管理システムの統合テストにおける進捗及び品質管理
S製品別の収益分析
時間大
時間大
問題の特徴

  • 「文書読解」と「計算」の問題

選択するかどうかの判断ポイントは、計算に時間がかかるかどうかです。

ここでは、「時間大」と「時間小」で分類しています。 試験当日に、問題をざっと見て「時間が掛からなそうだ!」と判断できたら選択してください。

令和元年度 秋期試験では、マネジメント系とストラテジ系のどちらも、計算を多く行う問題でした。

内容は難しくないのですが、時間がかかりますので、選ぶかどうかは慎重に判断してください。

 

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午後問題の読み方 ~マネジメント系

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午後問題の読み方 ~ストラテジ系

アルゴリズム及びデータ構造の出題傾向(午後 問 6 )

年度 テーマ 分類
H27春 クイックソートを応用した選択アルゴリズム 有名基本
H27秋 Boyer-Moore-Horspool法を用いた文字列検索 有名高度
H28春 簡易メモ帳のメモリ管理 オリジナル
H28秋 数値の編集 オリジナル
H29春 最短経路の探索 有名高度
H29秋 文字列の誤りの検出 オリジナル
H30春 ヒープの性質を利用したデータの整列 有名基本
H30秋 整数式の解析と計算 オリジナル
H31春 ハフマン符号化を用いた文字列圧縮 有名高度
R01秋 Bitap 法による文字列検索 有名高度
問題の分類

  • 「出題者オリジナルのアルゴリズム(オリジナル)」
  • 「午前問題で取り上げられる基本的で有名なアルゴリズム(有名基本)」
  • 「午前問題では取り上げられない高度で有名なアルゴリズム(有名高度)」

対策として、挿入法、マージソート、クイックソート、二分探索 など、午前問題で取り上げられる基本的で有名なアルゴリズムをしっかりマスターしておきましょう。

オリジナルのアルゴリズムと、高度で有名なアルゴリズムは、問題文に詳しい説明があるので、基本的で有名なアルゴリズムがしっかりわかっていれれば理解できるからです。

 

令和元年度秋期試験の問題は、Bitap 法という高度で有名なアルゴリズムでした。

基本情報技術者試験の市販教材で普通に勉強しただけでは、おそらく目にすることがないものでしょう。

ただし、この手のテーマが出題されたときには、問題文に示された説明を読めば設問を解けるようになっているので、心配無用です。

 

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Java の出題傾向(午後 問 8 )

年度 テーマ 分類
H27春 セキュアプログラミング オブジェクト指向、API
H27秋 ブロックのデータのキャッシュ管理 アルゴリズム、オブジェクト指向、API
H28春 “すべきこと”の管理 アルゴリズム、API
H28秋 電卓プログラム アルゴリズム、API
H29春 電気料金プランの比較 アルゴリズム、オブジェクト指向
H29秋 文字列の整列 オブジェクト指向、API
H30春 表現式を構築するためのライブラリ作成 アルゴリズム、オブジェクト指向
H30秋 書式を表すひな型への置換表の適用による文書の作成 オブジェクト指向、API
H31春 迷路と迷路上を移動する駒 アルゴリズム、API
R01秋 通信メッセージの配信システム オブジェクト指向、API

午後 問 7 ~ 問 11 のソフトウェア開発の中から、選択する人が多い Java の出題傾向を見てみましょう。

問題の分類

  • 「アルゴリズム」
  • 「オブジェクト指向」
  • 「 API の使い方」

それぞれの年度によって、どの知識に重点が置かれているかが若干異なります。

午後 問 7 ~ 問 11 のソフトウェア開発で、Java を選択すると決めているなら、3 つの知識をきちんと身に着けておく必要があります。API では、コレクション関連の List、Map、Set がよく使われる傾向があるので、それらの機能を事前にしっかり学習しておきましょう。

令和元年度秋期試験の問題は、オブジェクトに重点が置かれていますが、マルチスレッドに関する知識も要求されるものでした。

マルチスレッドは、これ以前の問題でも取り上げられたことがあるので、しっかり学習しておきましょう。

使われている API は、スレッド系のものと、List と Map でした。

 

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いかがでしたか。「自分が選ぼうと思っている分野の中に、苦手なタイプの問題があった!」という発見があったでしょう。

もしも、そうなら、あらかじめどの分野を選ぶかを決め付けずに、試験当日に問題を見てから選んでください。できれば、問 2 ~ 問 6 は「どの分野でも OK!」としておきたいですね。

それでは、またお会いしましょう!

 

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label これまでの『午後問題の歩き方』の連載一覧 label 著者

『プログラムはなぜ動くのか』(日経BP)が大ベストセラー
IT技術を楽しく・分かりやすく教える“自称ソフトウェア芸人”

大手電気メーカーでPCの製造、ソフトハウスでプログラマを経験。独立後、現在はアプリケーションの開発と販売に従事。その傍ら、書籍・雑誌の執筆、またセミナー講師として活躍。軽快な口調で、知識0ベースのITエンジニアや一般書店フェアなどの一般的なPCユーザの講習ではダントツの評価。
お客様の満足を何よりも大切にし、わかりやすい、のせるのが上手い自称ソフトウェア芸人。

主な著作物

  • 「プログラムはなぜ動くのか」(日経BP)
  • 「コンピュータはなぜ動くのか」(日経BP)
  • 「出るとこだけ! 基本情報技術者」 (翔泳社)
  • 「ベテランが丁寧に教えてくれる ハードウェアの知識と実務」(翔泳社)
  • 「ifとelseの思考術」(ソフトバンククリエイティブ) など多数