IT 研修制度インタビュー|第一生命情報システム ~ レガシーからモダンにシフトする

IT 研修制度は、よくあるヒューマンスキルや階層別研修とは異なり、情報技術( IT )を専門にするので、なかなか構築が難しく、また移り変わりも速いため、運用も難しいものです。
そこで、IT 研修制度がどのようなものか、実際に企業さまにお邪魔し、インタビューをして、その制度構築や運用のコツなどを伺っています。
第 9 弾の企業さまは、第一生命情報システム株式会社さまです。

従業員数 1,846名 |
1988 年設立 |
第一生命グループの IT の企画~運用までを一貫してサポート |

経営企画部 人財開発グループ長
SE職としてアプリ開発・基盤部門・外販業務を経て、現在は新卒採用・人財育成を担当

経営企画部 人財開発グループ
研修の企画・運営を担当。現在、2 児の母で仕事も育児も楽しみながら、奮闘中!
もくじ
年間 200 種類の研修
- このシリーズでは初めての大手企業さまへの取材なので、事前に第一生命情報システムさまの Web ページ を拝見したのですが、、、数多くの研修制度が掲載されていました。現在、年間でどれくらいの数の研修があるのでしょうか?

- 年間 200 種類!! そういった研修は、「若手向け」「新人向け」「管理職向け」や、「 Java 」など技術的なものもあると思うのですが、どういった体系になっているのでしょうか?

その中でも、一番多いのはシステムスキルの研修ですね。

「プロジェクトマネジメントができる人財」 を育成する
- 制度が多くて、どこから伺うか、とっても困りますね(笑)
では、そういった中でも、特に「こんな人財を育てたい」というものはございますか?

システムスキルに関する集合研修のほぼ半数が、プロジェクトマネジメントに関するものです。
- かなり手厚いですね。プロジェクトマネジメントにこだわる理由はどういうものでしょうか?

当社は、第一生命グループを IT で支えている企業ですが、要件定義から開発、保守・運用まで一貫して担っているのが大きな特徴です。その中で、開発・テストなどの工程はビジネスパートナーに委託している部分も大きく、ある程度開発経験を積んだ当社の社員に求められるのは、ビジネスパートナーを束ねて、マネジメントしていくことなんです。
もちろん若手のうちは開発にも携わり経験を積みますが、その後のミッションはマネジメントや上流工程を担うことです。

- 1 万人月超えですか。聞いただけで胃がキュッとします。。。

そういった大規模プロジェクトから、3 人月くらいの小さな改修プロジェクトまで、 数え切れないほど多数のプロジェクトが同時進行 しています。
- (!!)...それだけプロジェクトが並行稼働していると、プロジェクトマネージャはかなりの人数が必要ですね

ただし、「プロジェクトマネージャ」という職級のようなものがあるわけではありません。
- え、そうなんですか?


- では、その「プロジェクトマネージャの育て方」についてうかがいたいのですが、プロジェクトマネージャは、育成するのはとても難しいとされています。どのように育成されているのでしょうか?

「 1 割」だからこそ、より効果的な人財育成支援ができるよう、例えば、当社のプロジェクトの進め方に近いものであったり、当社として重要視している分野を積極的に選定しています。
集合研修としては、基礎~応用~実践まで段階を分けて体系的に準備したものを提供しています。
- 体系的というと、たとえば「 1 年目はこれ、2 年目はこれ」といった感じで受けるのでしょうか?

- ちなみに、どのような研修が開催されていますか?

基礎~応用~実践までステップアップしていくプロジェクトマネジメントの一般的な考え方以外には、カテゴリも、計画、実行とコントロール、品質マネジメント、コミュニケーション、レビュー技術等々、様々な観点のカリキュラムがあります。
また、実際のプロジェクトの経験から社内で蓄積したノウハウをワークショップという形式で社内講師にて実施しているものや、開発標準のようなお作法的な内容のものもありますね。

人財育成について熱く語る元尾さん
プロジェクトマネージャには IT に関する幅広い知識が必要
- では、プロジェクトマネジメント以外に人財育成で、こだわっている点はありますか?

- IT 基礎ですか。マネジメントに関連するものと思っていたので、それは意外です。
なぜまた、それにこだわりを持ってらっしゃるのですか?

それぞれの部門に特化したスキルは、研修や OJT でも行われていますので、その部門での IT スペシャリスト が育つ一方、それしか知らない、ということが多くなっていました。

そうすると、例えば、打合せのときに、他の部門の基礎になっている技術や用語がわからない、言葉も通じない、ということがあり、それが課題だと感じたのです。

そこでこの人財育成部門に異動したときに、 「他の部門の基礎的な技術について知らないことが課題だと思っている人が多いのでは?」 と仮説を立て、特に若手向けに技術を幅広くカバーする「IT 基礎」研修に注力するようになりました。
- そういうことだったんですね! なるほど。
では、実際に IT 基礎研修を受講した社員の方からの評価はいかがですか?

- 仮説課題が実際に存在していたんですね

今まで IT 基礎研修ではデータベース、ネットワーク、セキュリティ基礎など、それぞれに研修業者を探してカリキュラムを組み立てて、・・・と企画していたのですが、運営工数やコストが膨らむ一方でした。
そんな課題を感じながら次年度の研修企画をしている時期に、見計らったかのように、SE プラスの担当営業から「大手企業でも部門や階層を区切って SE カレッジが導入できるようになった」と案内があり、一気に導入を進めました。

「自ら手を挙げる風土」 の醸成に取り組み中
- この IT 基礎研修への参加も公募制なんですか。


それもあって、200 種類ある研修も、公募制のものが圧倒的に多いです。
- とはいっても、「 2 : 6 : 2 の法則」と言われるように、自分から手を挙げる人は、それほど多くはないと思うんですが . . .

実は、公募制スタイルを拡大した当初、まだまだ手を挙げる人は少なかったんですね。そのため、半強制的なこともしました。
- それはちょっと逆説的なように聞こえますね

そういった課題だけでなく、ほかにも、そういった研修があることを知らない、という社員もいました。
- そんなこともあるんですか?

当たり前ですが、興味を持たないことには自分から手を挙げないので。
そのほか、定員をオーバーしてしまった場合はコストを掛けても追加開催をし、自分から手を挙げた人には、ちゃんと機会を提供できるようにしています。

その結果、手を挙げて受講する人数も増えてきていますので、組織風土は一朝一夕で醸成できるものではなく、こういった地道な工夫が必要なんだと実感しています。

取材中、色々な方々から声を掛けられていた、愛されキャラの早田さん
攻めの IT にシフトしつつ、モード 1 ・モード 2 の両輪に取り組む
- では、業界で話題になっている「モダン化」というテーマでお聞きしたいのですが、第一生命情報システムさまが扱う技術は、COBOL やメインフレームといったレガシーなものからモバイルアプリ、クラウドといった新しいものまで、 IT 業界の歴史そのものが詰め込まれています。
今後、どのように舵取りしようとしてらっしゃるのですか ?

- 新しい開発スタイルというと、アジャイルなども?

アジャイルに向いていそうなプロジェクトで、かつ、そのプロジェクトのユーザーが協力的と思われるプロジェクトには、会社側からアジャイルの導入を打診する形で進めています。アジャイルには開発側だけでなく、ユーザー側のコミットもとても重要なので。
トライアル 2 年目に入って、プロジェクトにおいてアジャイルを経験した社員が、徐々に増えてきています。
- 2 年とはなかなか続いていますね。アジャイルを試してみたものの、スグにやめてしまう企業も多いと伺いますが、、、

従来のITスタイルに相対するものを「モダン化」と呼ぶのであれば、当社では「モード 2 」「攻めの IT 」などと表現しております。
当社の中期経営計画でも、大きな軸として「モード 1 」「モード 2 」の両輪で取り組んでいくことが謳われています。
もちろん、モード 1 も「守りの IT 」として重要であり無くてはならないものの、業務の高度化と省力化に取組むことで、リソースを徐々にモード 2 へシフトしてく計画です。

- 「 2025 年の崖」問題! ホットな話題ですね


現時点では、モード 2 分野に直接ビジネス創出として従事している社員はまだ少ないのですが、当社がモード 2 への取組みを推進していく中においては、将来のことも見据え、今は広く全社員に向けて、モード 1 との違いや新しい考え方について、研修や講演会などでまずは触れてみるという段階です。
これも一種の風土醸成ですね。

- 1 年間とは、それはすごい。そして、全額会社負担とはさすが大手企業。太っ腹です!

- 経営陣も、モダン化に積極的に投資する姿勢なんですね

- それだけ、経営陣もモダン化へのシフトに危機感を持っていると

グループ会社だからといって第一生命グループから選ばれ続けるとは限らない、という危機感を持っています。
もちろんスタートアップ・ベンチャーが先行くことも多いのですが、当社には保険という市場、仕組み、業務、そして何よりもそこで蓄積した大量のデータを把握しているという強みがあります。
それらもしっかりと活かしつつモード 2 へのシフトを進めていき、モード 1 ・モード 2 の両輪にて、IT で第一生命グループを牽引するような存在になっていきたいと考えています。
- 今日はありがとうございました!!


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