応用情報技術者試験の難易度が上がるポイントは「よい参考書がないこと」


2018-12-26 公開

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情報処理技術者試験の中で、唯一の “レベル 3 ” の応用情報技術者試験。大手 SI ベンダでは、 ” SE の共通言語” という位置付けで昇格の条件にしているところもあります。 “応用” という名称はついていますが、ここまでが “基礎” ということなのでしょう。

どういう特徴があって、どういう人が合格しやすい(チャンスがある)のでしょうか?

応用情報技術者試験試験の特徴は?

    応用情報技術者試験の 4 つの特徴

  1. レベル 3 の試験であり、エンジニアの共通言語とも言える内容
  2. テキストが無い
  3. 知識面は、基本情報技術者試験と大差なし
  4. 全問マークから記述式が加わる(午後)

テキストが無い

全範囲を対象とした “ITの真の基礎” が問われている応用情報技術者試験ですが、残念ながらいいテキストがありません。

と言っても、応用情報技術者試験の参考書等を書いている著者を dis っているわけではありません。これは、出版ビジネスの構造的な問題です。

平成 6 年に過去最大の試験制度改革が行われたのですが、実はその時に、試験を統括する情報処理推進機構から全試験区分のテキストも作成され市販されていました。しかし、おそらく採算が取れなかったのでしょう。すぐに終わってしまったのです。

その後、二度と試験の主催者側で市販テキストが作られていないのですが、当時、応用情報技術者試験の前身の “Ⅰ種” 試験のテキストは、 17 ~ 18 冊の分冊で横に並べると 1 m 以上あったのです。全てそろえると数万円。試験範囲を網羅しようとすると、実はそれぐらい必要なんですね。

しかし、それは試験主催者だからできたことで、民間の出版社ではそんなことはしません。昔は 4 分冊や 2 分冊など、なんとか網羅率を高めようと頑張っていたのですが「分厚いと売れない」、「薄い本の方が売れる」という実績から、どんどん薄くなっていったのです。

民間の出版社では、売れない本は作らないので。その結果、応用情報技術者試験という 1 冊のテキストで何とかしようという考え方が主流になったのです。

ただ、元々横に並べると 1 m ぐらいの情報量が必要で、そこから 20 年以上経って情報量もかなり増えているのに、 1 冊の書籍で何とかしようとするのは到底無理なのです。一度チェックしてみてください。

実際の過去問題の午後の問題のテーマが、その回に市販されていた参考書に載っているかどうか。それが答えです。

知識面は、基本情報技術者試験と大差なし

それに、応用情報技術者試験は基本情報技術者試験にプラスされる知識であり、明確な線引きも無いことから、知識面ではそんなに大差はないんですよね。

だから、応用情報技術者試験の市販されている参考書の内容にも基本情報技術者試験で問われるような内容が普通に入っています。というか入れないと機能しません。それゆえ 1 冊にまとめるなんて無理なんです。

全問マークから記述式が加わる(午後)

では、応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験からどういう点でレベルがひとつ上がるのでしょうか?

筆者は “表現力” だと考えています。午前も午後も全問マークの基本情報技術者試験に対し、応用情報技術者試験では、午後問題で「 30 字以内で述べよ」というような記述式の設問が加わっています。その部分ではないでしょうか?

区分 午前 午後
レベル 2
(基本情報技術者)
マーク マーク
レベル 3
(応用情報技術者)
マーク マーク+記述式
レベル 4
(高度系)
マーク 記述式・論述式

合格しやすい人は?

このような特徴を持った試験なので、次のような条件に合致する人は合格しやすいと思います。

受験区分で迷っている方で、次の条件をクリアしている人には、応用情報技術者試験に挑戦することをお勧めします。

そして受験を決めたら、 “強み” になるのか “弱み” になるのかを確認してみてください。

そして、学習計画を立てる際の参考にしていただければ幸いです。

その 1 :基本情報技術者試験の学習をしていた時に得意分野を作った人

基本情報技術者試験は、午前も午後も全問マークなので、なんとなく合格してしまうことがあります。

そうではなく、基本情報技術者試験の学習を通じて、ひとつふたつの分野を徹底的に突っ込んで学習して得意分野ができた人は、チャンスです。

先に説明したとおり、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の知識面では大差が無いので、基本情報技術者試験で強固な知識を会得しておけば、それがそのまま応用情報技術者試験にも役に立つのです。

それに、応用情報技術者試験の午後問題は、情報セキュリティの1問が必須なのですが、それ以外の 4 問は選択です。

つまり5つの分野だけを解答すればいいのです。そのうち 3 つぐらい得意分野があれば安全圏で、それが仮に 2 つでも、その 2 分野が短時間で解けるのなら、かなり合格に近くなります。

その 2 :コミュニケーションスキルの高い人

これは、この試験から記述式の設問が加わるからです。と言っても、 “対人” ではなくてもいいので、いわゆる “コミュ障” だから不利だというわけではありません。

相手は “ドキュメント” です。

問題文と設問に書かれている文章を短時間で正確に理解し、それに対して、初対面の第三者でこの問題の作成者に短時間で正確に、しかも要求する量で表現できるだけのコミュニケーションです。 “国語力” と言った方が適切かもしれませんが、そういう人は記述式の設問で高得点が期待できます。

その 3 :高度系の勉強をしている人、高度系試験にいくつか合格している人

当然といえば当然かもしれません。

しかし、情報処理技術者試験の場合、高度系区分でも受験資格に「基本情報技術者試験の合格者」という先行の必須資格区分は無いので、いきなり高度系から受験しても構いませんし、基本情報技術者試験の後高度系試験を受験しても全然かまわないのです。

実際、そういう戦略で挑んでいる人もいますし、筆者も全区分制覇してから、再度応用情報技術者試験を受験した時には、午後の問題を半分くらいの時間で解いて合格しました。

ちなみに、その日は鈴鹿でミニバイクの 4 時間耐久レース本戦の日で、それを抜けて三重県で受験していて…最後の 1 時間は走らなければならなかったので、午後の受験時間が半分もなかったのです。だから、完全に60点クリア狙いで大急ぎで解答しました(笑)。おかげさまで、試験も合格し耐久レースにも間に合いました。

試験の最大の特徴が “学習ツールの無さ” なので、そこさえクリアすれば、基本情報技術者試験と知識面では大差が無いので、普通に合格できるんですよね。

したがって、高度系の学習ツールを使って先に高度系の勉強をするか、そのまま高度系をいくつか揃えてから応用情報技術者試験を受験するという後回しにするか、それもひとつの戦略です。

試験対策は?

合格しやすい人の条件は以上です。

では、具体的にどんな試験対策が必要なのでしょうか?

それを次回、整理してみたいと思います。試験勉強の計画を立案する際に、参考にしていただければ幸いです。

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